夫が私のエッセイ集を作るらしい。
死ぬまでに「自分の本」を出すことが、昔からの夢だった。
それは、自分でお金を出して作るものではなく、誰かが「あなたの本を作りましょう」と提案してくれて出される本。
その夢を見ている時代、活字が印刷された「本」は、個人で作れるものではなかった。もちろんオフセット印刷で同人誌を作るなど、何かしら形にすることはできたが、今のようにいろんな手段で本を作り、いろんなルートで、それも個人で、自分の本を売ることなんてできない時代だった。
夫がこの間から、「かおりの本を出す」と張り切ってい