10月まとめ

1ヶ月って早すぎる。毎日日記を書くのは無理ゲーなので月毎ならいいじゃないの的精神でやり始めた月記、早くも挫折の兆しが見えている。

とは言え今月なんだかんだ書いてますからね!自分スゲー!!目次がめんどくさいので書きません。

フェミニズムと映像表現

国立近代美術館の「フェミニズムと映像表現」展を見てきたわよ。
もともとの収蔵作品から作る展示、こじんまりとしてはいたがとても良い。全く関係ないけどなんか大学のときの博物館学芸員実習を思い出してほろり。
出光真子作品は『主婦の一日』は鑑賞済だったが、今回展示されてたのはまた違う作品(タイトルを失念)。

これは「主婦の一日」

今回展示されてたのは、家の間取り図を見て自分の一日の行動を語る女性達の映像である。しかし画面には家の間取り図だけただひたすら映し、部屋を指して「ここでご飯つくって〜」とか喋ってる女性たちの腕や手が動き回るだけで女性たちの顔は映らない。時折笑い声が聞こえる。
家の中だけで一日が終わってしまう女たちの生活。女の世界は家の中だけで完結する。
でもこの作品は問いとか一切しないし、ただ普段の生活をお喋りして笑う女たちの映像だ。
なんかシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン』に近い精神性を感じる。

なんというか、映画ってほんとーーに男性の目線によって作られてきている。ニナ・メンケスのドキュメンタリーでそんなやつがありましたね、特集上映はふつうに見逃しました。
ブニュエルの『哀しみのトリスターナ』は老人フランコ・ネロの愛の哀しみを狙って撮っているのだろうが、カトリーヌ・ドヌーヴのリアクションはことごとく「男性が想像する魔性の女」のそれだ。これ女が演出したらね、もっとドヌーヴが恐怖に慄き逃げまくるホラーになってるであろうことは想像に難くない。
こういうフェミニズム的批評の観点というのは創り手からしたらもううんざり!という空気は男女問わず肌感覚としてあるけども、単純に観客の半分は女なんだってことを忘れてるようじゃ無理か。作劇にあたって意識はしないとね

10月観た映画は31本

結構ペースが落ちた月だったのだが、わりと原因としては「1つの映画から読み取る情報量が多くなってきた」んだとおもう。
これホンとしてはどうなのか、セリフは?キャラクターは?から始まり、映画のショット構成、編集、トーン、照明、音、音楽、と考えながら観ているので頭がパンクしそうになる。そして眠くなる(単純に睡眠の質悪いだけ)。良い映画ほど10分おきくらいに停止して頭を冷やしながら観ている。
逆に良いかと言われるとあんまりそうでもない映画はするする観れる。『マルコヴィッチの穴』とか(怒られるよ)
特に印象的だったのはパブロ・ラライン『エマ、愛の罠』で、子どもの問題を抱えた年の差夫婦が主人公なわけだが、ダンサーの妻エマは金髪オールバックでその見た目は明らかにクィアだ。実際バーテンの男性や離婚調停を依頼した弁護士の女性と不倫関係になり、演出家の夫にとにかく反抗する。
このダンサーである妻がダンサー仲間とチリの街のあらゆる場所でレゲトンに合わせダンスするシーンが何度も挿入されるが、このダンスの観客は一切映画の中に見当たらない。
観客の存在しないダンスないし音楽はどういった文脈で私たちの前に現れてくるのか、といったら、真っ先に思いつくのは「抗議、反抗」の意を表明する文化芸術としてのそれだろう。
エマと共に踊りまくるダンサーたちの見た目もクィアな外見で、実際絡み合うようなカットもある。彼女たちはダンスとともに火炎放射器を携えて街の公共物である信号機、銅像、バスケットゴールを燃やす。
かつてピノチェト独裁政権下でシカゴ学派の新自由主義経済政策が行われたチリではありとあらゆる文化芸術が燃やし尽くされた。反対派の粛清とともに行われた芸術家たちの拷問と処刑はチリの歴史をも根こそぎチリ国民から奪い去った、その歴史を丁寧に拾い上げた映画がパトリシア・グスマン『光のノスタルジア』『真珠のボタン』である。
ラライン自身、右派の政治家を両親に持ちながら反ピノチェト派のキャンペーン運動を描いた『NO』を撮っていることからも分かるとおり、両親とは思想を異にしているのは明白である。『スペンサー』『ダイアナ』と国家をめぐる他人や自分の持つ人間の業に締め上げられる主人公を描いた映画も、やっぱララインでしか描けないものになっている。何回観てもスゴイよね、この人。

ミハル・アイヴァスの来日講演

ヨーロッパ文芸フェスティバルのイベント、ミハル・アイヴァス来日講演があったので行ってきた。

『黄金時代』のチェコ版表紙らしい。スゲ〜

私はミハル・アイヴァスに関してはカフカ的精神よりはどちらかというとマジック・リアリズム的精神が強い作家だなと思っていた。だからアイヴァスが影響を受けた作家にカフカとレヴィ=ストロースを挙げていたときはちょっと意外だったんだが、その後もめっちゃカフカについてズォ〜っと話してたので、読んだ私の記憶がたぶん間違ってる。
実際話を聞いてると、カフカ的、というと不条理劇を連想しがちだけども、アイヴァス自身はカフカ作品のもつ非現実性のほうに影響を受けてるっぽい。
最後に世界のあらゆる都市を舞台に書いた長編を紹介されたが、チェコ語版が分厚すぎて「うわァ〜」と悲鳴に近い声が上がっててウケた。

10月聴いた音楽

やっぱパブロ・ラライン『EMA』でしょう。レゲトン!!!!

#小説 #音楽 #日記 #映画 #レゲトン

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