良い子のびす子

文章力の整理と、結果を出したくてショートショートを書いています。規定の700文字以上前…

良い子のびす子

文章力の整理と、結果を出したくてショートショートを書いています。規定の700文字以上前後ですが。頑張りたい。ただ何事にも。

最近の記事

生まれ変わり(1300文字前後)

ロンスチィーが亡くなった。暴走した馬車に轢かれそうになった、男の子を助けて。僕は毎日のようにそれが夢に出てきて、この村には時間というものを日の明かりでしか体感できるものはなく、僕は後に時計というものを知るまでは、いつも広場の日時計というひどく曖昧なものでしか分からなかった。ロンスチィー、愛称はロン。ロンが亡くなってから、僕はあることをきっかけに、「神秘」という存在に気づくことになる。 白い息が出る、外の氷が張った季節。僕は目的もなく広場に来ていた。「へっくしゅん!!」くしゃみ

    • 死神

      散らかる一方のテーブル。床に広がる牛乳のこぼれたヤツ。あの子が好きだったお香を炊いたあと。欲しかった本も無造作に広がってる。 僕はため息をついてソファーに沈む。 こんなままで1日終わるのか… 少し暮れかけたある日。それはおこった。 ピンポーン チャイムが鳴る。誰だ?大家さんか、あの子か、なんか宅配か?ネットで頼んでないけど。 ダルさしかない体を起こし、インターホンのマイクと喋る。 「どちら様ですか?」 「死神ですぅ…」 ?、悪質なイタズラだろう。しかし声は年老いてる感じのおば

      • 列車は走る、海の中に花弁を浮かべて

        列車は走る、海の中に花弁を浮かべて 見てしまった、私は。汗臭い制服を着て、列車を待っていた。早くシャワーを浴びて、お父さんが作ってくれる晩御飯を楽しみにしながら。 今日はお母さんは夜勤、だからお父さんが「今日はお父さんが特製の唐揚げ作るから、待ってなよ、真菜」と笑顔で送り出してくれた。 バスケのレギュラー争いは疲れる。中学と格は違うし、皆バンバン、シュートを決めて、コーチが笑顔を見せる。私は臆病になり、憂鬱になっていた。「お父さん、唐揚げ美味しくだよ…」食べ盛りもあってお父さ

        • 彼女の本

          いつも同じバス。いつも同じ座席に彼女は座る。きっと本好きなんだろうな。白い手に綺麗に塗られたネイルが美しく見えて、彼女が持つその本に興味がいってしまう。 図書館で借りてるんだろうか、じゃないとお財布破産だよな、なんて僕は考える。彼女の想像力、思考力が読めたら、僕はこの長いバス時間の間退屈なんてしない。スマホを見るふりをしながら僕も想像で彼女の本を読む。 自分のどこかで彼女が問いてくる。 「ねえ、今日はこの主人公が母親にいじめられて、昔遊びに行った家の近くの公園で夕暮れを過ぎる

        生まれ変わり(1300文字前後)