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旅行以上、引っ越し未満なホテルステイ。根津 HOTEL GRAPHY NEZUにて

ひとりの時間は、どこで過ごすかによって、日常にも思い出にもなる。

たとえば、旅行よりもその土地の「暮らし」になじみ、自宅ではないからこその「特別感」がある場所だったら、普段の仕事も違って見えるかもしれない。

そこで、新しいホテルステイの形を提案するHOTEL GRAPHY NEZUに訪れた。

8〜9割が外国人だったホテルの「with コロナ」

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 千代田線根津駅から住宅街の中を歩いて5分ほど。下町風情が残る街でひときわ目を引くのが、2013年にオープンした「HOTEL GRAPHY NEZU」だ。気持ちのよさそうなテラス席に、全面ガラス扉のオープンな雰囲気の入り口。やわらかな明かりが差し込む建物内を見ていると、つい引き寄せられてしまう。

 「1階には映画の上映会など、イベントに使うことができる和室、カフェ&コワーキングスペースをはじめ、宿泊ゲストが使えるリビング、『バルミューダ』のトースターや『ル・クルーゼ』の調理器具などもそろったキッチン、ラウンジなども設けています。共用スペースを合わせると、およそ400平米ほどの広さになるでしょうか」

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 説明してくれたのは、「HOTEL GRAPHY NEZU」を運営する株式会社グローバルエージェンツの施設担当・森広野さん。ここは、築40年以上の旅館だった建物をリノベーションし、ゲストハウスとしての営業を行っていたが、インバウンド需要の拡大に合わせて形態をホテルへと移行している。

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「一時期は、宿泊ゲストの9割が海外からの旅行者ということもありました。色々な国の人が集まる“ミックスカルチャー”が生まれていたのですが……コロナ期間中に大きな打撃を受けてしまいました」

ソーシャルアパートメントという選択肢

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 それでもピンチはチャンスとばかりに生まれたのが、ホテル、共用スペースはそのままに、最短1ヶ月から滞在可能なマンスリープランだった。コロナ以前から系列ホテルでは、従来の個室と充実した共有部を提供し、住人たちが交流を楽しめる「ソーシャルアパートメント」のコンセプトをHOTEL GRAPHY NEZUらしい形で取り入れたのだ。

「“設備が整った学生寮・社員寮”を想像していただけると良いかもしれません。ただ短期間住まうだけでは物足りない方、シェアハウスのような“ファミリー感”よりも少しゆるいつながりが欲しい方に選んでいただけています。主に、20代30代の社会人の人たちが多いですね」

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 共用バスルームがついたセミダブルルームは月9万1000円から、専用バスルームがついたセミダブル・ダブルルームは月10万5000円からと、“ホテル暮らしプラスアルファ”ということを考えると、コストパフォーマンスは高いように思える。

「最短3営業日で入居できるので、『今週末から住みたい』と思い立ったときでも問題ありません。もちろん内覧も可能で、設備や、中の雰囲気で心がつかまれる方も多いようです」

シェアハウスとも違う、住人たちの距離感

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 客室に目を向けると、シングル、ツイン、ドミトリーなど、ひとつの建物内に多種多様な空間が広がっているが、ここならではともいえる特別な場所が“屋上”にある。

「『ルーフトップテラス』と呼んでいるのですが、ウッドデッキと人工芝が張られたスペースを設けています。晴れた日には上野の森の向こうにスカイツリーが見え、東東京を一望することが可能です。コロナ以前は、こちらでヨガ教室を開催しており、参加した方からは好評を得ていました」

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 住まいとしての機能だけでなく、交流をのぞむ人のための共有スペースもあるソーシャルアパートメント。適度な距離感だからこそ、居心地の良い関係性がここでは生まれる。

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「同じ時間にキッチンを使ったことから話がはずみ、二人でお茶へ出かけたり、ケーキを買いに行ったりするなどのお話も聞きました。無理のない形でお互いが近づける “仕掛け”があるのもソーシャルアパートメントの良さだと思います」

根津という土地の引力

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 施設担当の森さんが入社したのは2年ほど前のこと。前職では飲食業界で店舗開発に携わっていた。いったいなぜ、ホテル業界に飛び込むことになったのだろうか。

「というよりは、この会社の社長のユニークさに惹かれたのがきっかけです。先頭に立って現場の開発に案を出しますし、いろいろなことにアンテナを張っている。僕自身もいざ入ってみると、コミュニケーションを生み出す場所づくりにのめり込んでいきました」

 東京に暮らす人でも“あまり何があるかわからない”根津という街。森さんたちは魅力を伝えようと、キュレーション活動にも力を入れる。

「着任してわかったのが、他の地域に比べておいしいお店がたくさんあること。ミシュラン星付きの懐石料理店、食べログで評価が高いお蕎麦屋さんなど、スタッフとともにオススメしたい場所を冊子にまとめています。それ以外にも公式Twitterで、根津から歩いていける周辺の名店情報を定期的に投稿しています」

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 コロナ以降、1階のカフェを兼コワーキングスペースにしたほか、「楽天トラベル」「じゃらん」といった国内旅行サイトにも初めて情報を掲載するなど、逆風が吹く中で対策は講じてきた。そしていままた、明るい兆しが見えつつある。

「また外国人の方たちが、笑顔で戻ってこられるようなイベントを催していきたいですね。プラス、この地域の人とたちと接点が生まれる色付けができたらなと思っています。私たちが、コロナ中も共用スペースを減らさずにここまでやってきたのも、人と人との出会いがすごく素敵なことだと思っているから。そのお手伝いを今後もしていきたいですね」

SHOP DATA

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HOTEL GRAPHY NEZU

東京都台東区池之端4丁目5-10
Google Map
TEL:050-3138-2628

公式サイト
Instagram

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