VdBL俳句を作ろう 7日め/2月12日深夜 リメイキング
一週間が経過して、自分の句ともう一度向かい合ってみる。私には表現したいことがあるのに、まったく技術が追い付かなかった。今ならもうすこし俳句っぽくできるんじゃないか。
Before:身食いせよバレンタインといふ日なり
After:身食いする蛸の手当てをしてあげる
自分で自分を食べちゃうのはBLっぽい。それで身食いするっていう動詞を思いついたときはうれしかった。なんとかバレンタインを入れたくてそれでせいいっぱいで、なにもできなかったけど……。具体的なイメージに落とし込んでいこう。具体>抽象を意識する。身食いするものといえば、萩原朔太郎の「死なない蛸」(http://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/1790.html)だ。
「どこにも餌食がなく、食物が全く盡きてしまつた時、彼は自分の足をもいで食つた。まづその一本を。それから次の一本を。それから、最後に、それがすつかりおしまひになつた時、今度は胴を裏がへして、内臟の一部を食ひはじめた。少しづつ他の一部から一部へと。順順に。」
国語の教科書に載っているんだけど、かわいそうな蛸だなってずっと思ってた。2本目くらいで止めてあげる誰かがそばにいたらよかったのに。その気持ちを供養してやりたいので改作。「~をしてあげる」が主観的すぎてちょっと気になる。もっとクールでドライな方が俳句っぽいけど、私はBLが詠みたいし、できればかわいそうな蛸のそばに誰かがいてほしい。
Before:こころなき雪割草の白を汚す
After:雪割草再会までの日々とほし
これは俳人の方々がどんどん改作してくださって、嬉しかった。ぜんぶとても良くて、自分の句はだめだなあ、と思ったけど、それ以上にがんばろうと思ったんだ。雪割草は、私がよく知る数少ない花で大好きな季語のひとつだ。詠みなおすぞ。
私の思い入れは私の思い入れに過ぎない。それは伝わるかもしれないし、伝わらないかもしれない。でも、伝われば良いなって思って詠もう。
雪割草は寒くて暗い冬の終わりに山野に咲く地味な花で、その花期は短い。でも、どれひとつとして同じ花がなくて、自分のためだけに咲いているような気持ちにさせてくれる。熱心な愛好家が多いのは、そのせいじゃないかな。年に一度会える、懐かしい友達。その友達に会っているときの自分がいちばん好きで、そのときをずっと待っていて、それ以外の毎日は味気なくて、っていう感じを出したい。現実感が希薄というか、時間が間延びしているというか、とほし、にしよう。ここはひらいて、遅くしたい。
Before:春なんか来なくても良い愛の日よ
After:愛の日も愛なき日にも排泄す
ひええ、季重なりだし、ふわふわふわふわしてる……。1日目の私よ……。やりたいことはわかるんだけど。せつないなあ。ザラメのないわたわめじゃないか。
バレンタインデーが2月14日じゃなかったら、こんなにみんながチョコ買わないよ。2月14日っていうのがいいんだよ。新しいことがはじまるワクワク感。でもまだ冬の感じも残ってるんだよね。
でも2月14日は1日だけで、それ以外の364日間もあって、愛があろうとなかろうと毎日生きていかなきゃいけないんだよな。
そういう日常におけるちょっとした非日常がバレンタインデーの良いところだし、そういうものを託して詠みたいな。
そんなわけで、毎日毎日親身にアドバイスしてくださったみなさまへ、一週間の感謝を込めてビフォアアフターです。くらべてみて、アドバイスが実を結んだと思っていただければ、こんなにうれしいことはありません。すこしはうまくなったでしょうか。