覚書(公共性と私性)2018/5/15
「まずはホルクハイマーらの反ユダヤ主義論から振り返っておこう.彼らの議論というのは要するに,異他なる存在者の排除がいかなる心的機制にもとづいて作働するのかを,フロイトに依拠しつつ説明しようとするものだった.『啓蒙の弁証法』によれば,文明史の行程で人間主体の内なるミメーシス的な衝動は抑圧されざるをえない.そしてこの抑圧された衝動が「不気味なもの」として回帰するとき,主体はそれをみずからの存立を根底から脅かすものとして忌避し排除することになる,というわけである.ただし,このように