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『私は存在が空気』/中田永一  読書徒然 vol.3

1番好きな作家さんの別名義の小説
様々な不思議な能力を持った主人公達の
恋を描いた6篇の短篇集


表紙のイラスト、大好きな漫画家である
浅野いにおさんが描かれていて嬉しみ溢れる
どの主人公達も周りの人達との間に距離を
感じている
その中で認めてくれたりわかってくれる人との
出逢いが紡がれている

不思議な文章の中に
他人と関わることのこわさ
だけど関わらないと気付けない、些細な優しさに
触れた時の喜びとかがさり気なく込められている

不器用な登場人物達の気持ちが痛いほど
伝わってきて『愛しい』を感じる小説
自分のことをわかろうとしてくれる人が1人でも
いれば大丈夫な気持ちになれる温もりも教えて
くれた

6篇の中で特にお気に入りは
【サイキック人生】

心に響いた文章
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(本文より)
『「天然って言われて、
ああ自分はそうだったのか、とおもったよ」
「そういうレッテルを貼ると、人間って、
交流しやすいんだ」』 


『「人間を四種類の型に分類することで、
すこしは相手を理解した気になれるんだ。
天然という言葉もそう。星野泉という人間に、
天然という枠組みをあたえることで、人間関係に
おいての立ち位置が明確になる。
星野泉という人間のままではどう接すればいいのかわからなくても、天然というキャラクターの
扱いならテレビのバラエティ番組で演じられて
いるから多少はみんなもわかっているんじゃないかな」』 


『ほとんどの時間、それでもたのしい。
私は天然という役割を演じる。
みんなと共有する場を大事にしたかったし、
そのために演じる行為は、いわゆる音楽の
セッションみたいなものだ。
だけど、みんなとわかれてひとりで電車に
乗っているときなど、つかれてため息が
出てしまう。』 


『「ひみつを話すって、どんな感じ?」 
「いいもんだよ。
ほんとうの自分を見せられるってのは」』
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