遠隔視とサイコキネシスに関する物理モデル

最初にCausal Dynamical Triangulation (CDT)をコーザルチェーン(因果律)のモデルとして考えてみる。その上で因果律が伝搬していない時空間(背景独立なのでそのような呼び方が正しいか分からないが)を考えてみる。このような静的時空間(アカシャ)と神経コヒーレンスとの間に量子もつれを介したどのような相互作用が可能かを考えてみる。これが遠隔視(RV)と念力(PK)の理論の骨子になるだろう。

量子もつれはプランク距離以上のフリースケールで発生させる事が出来る。あとはサンプリングの問題。任意の時空中の全てのプランク格子をスキャンするのか、10分の1あるいは1兆分の1までサンプリングを希釈するのか。あるいは1voxelを1プランク格子とするのか、1億光年立方メートルとするかの違いだ。この膨大な探索空間を数学的にどう高速移動するのかは興味深いところではあるが。量子もつれを利用した量子プローブはプランクスケールの事象を読み取れる。チューブリンは確かに2次元のシート状で構造としては美しいが、別にハードウェア構成がグラフェンシートのように美しくなければならないという制約はない。量子状態のマトリックスが実現できて、各々の量子もつれ状態をアドレッシング出来ればそれでいい。例えば松果体ニューロンの細胞膜に分布しているイオンチャネルやレセプタの分極状態なり、タンパク質中の特定の分子の量子状態でも良い。極端な話、脂質二重膜もある意味2次元のアレイになっているのでメモリ素子としては面白い特性を持っているかも知れない。量子カップリングによって時空の特定領域を構成しているプランク格子の状態がニューロン表面のチャネルアレイにコピー出来れば、あとはその情報を活動電位に変換し、皮質の視覚野なり聴覚野なり前頭前野に伝搬させれば良い。これで時空を超えた遠隔視が可能になる。また逆方向に情報を伝送すればプランク格子(例えばボゾン)を操作して力を生み出せるのでサイコキネシスが可能になる。

量子カップリングから活動電位への変換については、例えばニューロン表面のチャネルアレイがメモリバッファになっているとしよう。このバッファには時空の情報が転写される。最初は宇宙全体かも知れないし、徐々に特定のvoxelに絞っていくのかも知れない。その特定のvoxel内でサブサンプリングされたプランク格子の量子状態が転写される。松果体ニューロンの中にはアドレッシング機構が備わっており、ニューロン表面のメモリバッファの量子状態を先頭番地から1bitずつ読み出せる。例えば1個のイオンチャネルが全体の活動電位を支配するようなモードが作れる。全てのイオンチャネルが一瞬の時間窓の間だけそのような支配モードに入る事ができて、そのような支配期が全イオンチャネルに順番に回ってくる。そうすれば全イオンチャネルの量子状態(バッファ内の情報)を活動電位としてシリアルに転送出来る。ただ活動電位のシリアル通信は鬼遅い。ニューロン表面に存在している多数の分子と視床の神経束をカップリングさせる機構が必要である。地磁気センサのような何らかの量子的増幅器である。

通常の意識状態において視床は情報を遮断しており、そのゲーティングが緩くなると変性意識に入り知覚の歪みや自我の喪失が起こるという仮説があるが、LSDを用いた変性意識の誘導実験では、実際に視床から皮質への結合が強くなる事がfMRIの測定で確認されている。ちなみに統合失調症の発症メカニズムも視床の情報関門が緩む事で起こると考えられており、症状もLSDと似ている。つまり意識は視床が生み出している。意識は氷山の一角であり、水面下には広大な無意識が広がっているが、水面に浮上できる氷の体積を調整しているのが視床である。変性意識こそが本当の世界の姿であり、我々の意識とは本当の世界を皮質が処理できる容量に切り取ったものである。視床がより多くの情報を皮質に送り込めるようになれば、意識は拡大する。しかし皮質はその膨大な情報量を処理できるようにならなければいけない。視床に入ってくる情報は光や音などの物理刺激だけではない。その何十倍か何億倍かは分からないが、ずっと膨大なメタフィジカルな量子情報が松果体から流れ込んでくる。ただもしその仮説が正しければ、松果体と視床との間にかなり膨大な神経束が存在するはずである。あるいはシナプスを介さずに活動電位を誘発させる機構が存在するかだ。ヨギは視床と松果体を鍛えているのかも知れない。まあそもそも皮質は松果体から流れ込む量子情報をそのまま扱えない可能性もある。本当の知性は時空のプランク格子から成る量子コンピュータそのものである。皮質は松果体を介してその知性を物理世界へと媒介する道具に過ぎない。時空そのものが広大な知性である。氷山の一角は皮質、水面下の無意識は松果体の先にある広大な時空という事も出来るだろう。天才とは時空の量子的計算資源を変性意識を通して利用できる人の事である。アカシャにアクセス出来ればどんな問題にも必ず答えが見つかる。そもそも問題など存在しない事に気が付く事もあるかもしれないが。

LSDが緩めている視床の情報関門は感覚器官からではなく、松果体からではないだろうか。皮質はそもそも感覚器官からの入力フォーマットしか扱えない。量子時空の構造を把握するアルゴリズムが神経コーディングされていない。例えば松果体ニューロンのイオンチャネルアレイは時空の量子構造を表現できる。もちろん量子時空が数学的に記述可能なものであれば、皮質もそれを論理的に理解する事は出来る。ただ皮質が知覚出来るのは実数の観測量だけだろう。波そのものを感覚的に捉えられるわけではない。チャクラが観測量なのかどうかは興味深いところではあるが。ただ受容体のアレイなり神経束の時空間変化を階層的に畳み込むだけであれば、そのフロントエンドのセンサが量子ビットのアレイになったところで何らかの知覚体験は生み出せそうな気はする。センサが量子ビットアレイだったとしても、波動方程式の隠れ変数は分からず、演算後の観測量だけ取れるのかも知れないが。

第三の目とされる松果体こそが脳時空インターフェイス(BSTI)あるいは脳真空インターフェイス(BVI)である。また時空や真空を量子計算機と捉えるのが計算的宇宙論、あるいは量子計算的宇宙論である。もし仮に時空そのものが量子コンピュータだとすると、物質は量子計算の副産物なのではないだろうか。CPUが計算の副産物として電磁波や熱を出すように(計算の過程で特定の演算子を使うとプランク格子が半整数スピンになってしまう)。デビッド・ボームは時空も明在系であるとしているが、広義には明在系・暗在系の考え方に近いのではないだろうか。

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