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35.【閲覧注意】「魔女の宅急便」の舞台で知る、本当にあった怖い話

2025年1月21日
(English Follows)

※暴力的な表現が出てきます。辛い話が苦手な人は読まないでください。
※展示資料を見ながら書いているので、専門的な部分や詳細に関してはで誤りがある可能性があります。あらかじめご了承ください。


 本編の前に、少しだけ裏話を。フィンランドでも、ストックホルムでも、私は暇を見つけては美術館や博物館に行っていたので、ここで紹介しても良さそうなのだが、すでによくまとまった記事がたくさんあって、いくら私の感想を書いたところであまり読んでもらう意味がないと思った。そうして、あくまで個人的な楽しみとして博物館を巡っていると、今回紹介する展覧会に出会ってしまった。

 柳田國男が『遠野物語』を書いた際、かの有名な「平地人ヲ戦慄セシメヨ」という言葉も生まれたわけだが、私はまさにこの展示たちに「戦慄せしめ」られ、このことを日本にいる人たちにも伝えたい、と思った。

 だが、ここが私の詰めが甘いところで、戦慄しすぎて、写真を全然撮らなかった。カタログがあるだろう、と思っていたら、売っていない。そんなわけで、大変拙いご案内にはなりますが、博物館のHPを参考に、思い出せるだけ書いてみます。さらに気になった方は、良い本がたくさんありますのでぜひ調べてみてください。


(ここから本編!)

スタジオジブリ「魔女の宅急便」(宮崎駿監督)より

 スウェーデン、と聞いて日本人が最初に想像するのは何か。おそらく多くの人がジブリ作品の『魔女の宅急便』(宮崎駿監督)で主人公のキキが空を飛んでいるシーンを思い浮かべるだろう。

 そんな爽やかな雰囲気を持って入ったら、脳天をかち割られるような展覧会が、ストックホルムにある「スウェーデン国立歴史博物館」で開催されていた。その名も、「HÄXOR」、「魔女たち」という展示である。


HÄXOR /WITCHES
2024年12月5日ー2025年5月11日まで
スウェーデン国立歴史博物館(national historiska)にて開催中


展覧会概要及びオープニング

 この博物館は、大きな通りに面しており、建物も大きく、中に入ると「経済」「歴史」の2つのブースに分かれている。正直な話、常設展は他の博物館に比べて、広いが、あまり魅力的ではないように思えた。「歴史」の常設展示を抜けていくと、最も奥のエリアにそれはあった。

 展示は、入り口から異様だった。その前の部屋には、中世ヨーロッパで実際に飾られていた祭壇やキリスト像、母子像などキリスト教にまつわる展示がある。暗い室内に入ると、部屋の奥に祭壇がある。さながら田舎町の質素な、本物の教会のような作りになっていた。そこに大画面、大音量で、この映像が流れていた。

 要するに、中世の魔女狩りで犠牲になった女性たちということか。しかし、中世に写真はない。そんなに最近まで魔女狩りは続いていたということなのだろうか。

 次の部屋に入って、謎が解けた。展覧会についての案内文が、HPに載っていたので一部紹介したい(翻訳は筆者によるもの)。

“ようこそ「HÄXOR」展へ。
 本展示は五感を通じて体験できる内容となっています。精巧なセットデザイン、映像、写真を通じて、1668年から1676年にスウェーデンで起きた魔女裁判を体感できます。
(中略)
 本展示は17世紀スウェーデンで、いかにして女性たちが魔女として告発されていったのかを描いた実際の出来事とその人生を基にしています。小さな家々での噂話が、致命的な結果をもたらす「真実」へと変わる様子を、シナリオ、映像、写真を通じて表現します。
 では、魔女として告発された女性たち、彼女たちに不利な証言をした子どもたち、そして裁きを下した男性たちはどのような姿をしていたのでしょうか?彼らの顔は、展示内の画像を通して初めて明らかになります。これらの画像は人工知能を用いて作成されました。そのため、「HÄXOR」はスウェーデンで初めてAIを活用して制作された歴史展示となっています。”

「Häxor」展HPより

 つまり、これまで顔の見えなかった「魔女たち」にAIによってリアルな画像を与え、より共感できるようにしているのだ。


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