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51.コペンハーゲン:自由都市クリスチャニアと幸せのモラトリアム。
2025年2月11日
(English Follows)
「世界で一番幸せな国」と謳われるデンマークの首都で、観光よりも生活の体験に重点を置いたプロモーションも功を奏しているコペンハーゲン。スカンジナビアとヨーロッパ大陸を結ぶ交通の要所でもある。
そんなコペンハーゲンの第一印象は「空気が悪い」である。デンマークといえば、環境にやさしい政策、公共交通の電動化など、どこか空気の綺麗な印象がある。ところが、滞在中のPM2.5の値は基本的に「悪い」で、排気ガス、歩きたばこなどにより、空気のとても綺麗なその他の北欧諸国を巡ってきた私はずっと咳き込んでいた。
コペンハーゲンは「自転車の街」としても有名である。市民の大半が自転車に乗り、車道と歩道の間には充分なスペースの自転車専用道が設けられている。こう書くと、人に優しいまちづくりのイメージが湧くが、実際には、とにかく危ない。
自転車に乗る人が多すぎて横並びになり、車道にどんどん飛び出している。右折、左折時には車道は混乱する。バスや店から出たとたんに、スレスレを自転車が通り抜けていく。なんだか、ベトナムや台湾の原付バイクより歩行者としては怖いと感じた。
では、何をもって「幸せの国」なのか。一般的には、経済的に格差があまりなく、社会福祉や教育水準が高いからだ、と言われているが、私は、嗜好品の種類も関係しているのではないかと思う。たとえば、コーヒー。もちろん、どの国でも美味しいものがあったが、「スタンダード」な美味しさをどの店も競っているようで、根本的に違いはない。
一方、コペンハーゲンは、その抽出方法から、豆の産地、挽き具合など、店ごとにかなり個性がある。お茶、お菓子、などなど、思いつくものはどれもこのルールが当てはまるように思う。
嗜好品だけではない。店の種類、レジャーの多さなど、娯楽や、社会のシステムそのものにまで、「そこにないなら作ってしまえばいいじゃない!」と、社会全体がどんどん作り上げていっている雰囲気がある。まるで「多様な幸せを着飾る」ように感じられ、ヨーロッパとスカンジナビアの交流地点であることを実感する。
もしかしたら、この場所も、そんな幸せの一つなのかもしれない。自由都市クリスチャニア。850人〜1000人の住民が住む、7.7ヘクタールの、コペンハーゲン内で自治を自称する地区である。デンマーク王国に、それも首都に、なぜこのような場所があるのだろうか。
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