音楽配信時代に継続的に聞かれる音楽を作っていく為には?
1)Apple公式プレイリスト「お花見ヒッツ」にBlueHairsが入った件
桜の季節になりまして、桜ソングがTV、ラジオで流れ続けてきている訳ですが、Apple Musicの桜ソング、春ソングを集めた公式プレイリスト「お花見ヒッツ」になんと、BlueHairsの「桜唄~Scene2~」がピックアップインしました。
このプレイリスト、福山雅治「桜坂」、いきものがかり「SAKURA]、森山直太朗「さくら(独唱)」、ケツメイシ「さくら」、コブクロ「桜」などなど、桜ソングの定番曲満載のスーパープレイリストでございまして。そこに社会人バンドBlueHairsの曲がなんと入るという奇蹟が…
noteが、AppleMusicと、Spotifyのプレイリストが埋め込めるようになりましたので、これを記念して、こんな記事を書いてみた訳ですが。
にしても、凄い快挙です。
本曲は昨年、東京カレンダー制作のドラマ「桜舞う日に」の主題歌として制作された訳ですが、なかなかディープなドラマでして。
4話完結だったのですが、東京カレンダーのコメント数で過去最高値を叩き出し、ドラマは大成功だったとお聞きしています。
しかし、曲は、昨年桜の開花が物凄く早くて(もう3月には全て散る的な)曲のリリースタイミングが上手くマッチせずに不完全燃焼となってしまいました。
これはBlueHairsの曲だけではなく、2018年にリリースされた桜ソングは概ねどれも伸び止んだ1年だったと聞いています。
2)それでも桜ソングは、毎年聴かれる
~ 音楽配信時代に大事なこと~
しかし、今年に入って桜唄がAppleMusicのプレイリストに入った事を見て、桜ソングは" 毎年聴かれる" 事を改めて理解。
この事からも、現在の音楽配信実情に照らし合わせると、きちんと配信数を稼げる曲はスポットで流行る曲ではなく、2年経っても、3年経っても継続的にずっと聴いてもらえる曲をしっかり作る事が本当に大切なのだと。
その時に注目したい点は
① 季節曲(桜、海、クリスマス等々)
② 時間曲(朝起きた時に聴く曲、電車の中で聞きたい曲、寝る前に聴きたい曲)
③ 定番メッセージ(失恋、愛してる、友達、感謝)
こうしたものに上手くあてはまる事で、長く聴いて頂けて、その年流行らなくても、年を重ねる事にだんだん聴く方が積み重なって増えて行くという方向性があるという事です。
この辺りの長く聴かれる継続性が、配信音楽の時にとっても重要な要素で、従来のCDを売っていた、その時々のトレンドで売り切る時代と異なる戦略になるわけです(CDの時代はとにかくその年のヒットとレコード会社のプッシュ作品が棚を占めますので)
そうした継続性という意味で、上記テーマ性はとっても大切な訳ですが、それだけではなく、テーマ性のある曲はプレイリストに選ばれやすい
というメリットもあります。
特に①と②の季節と時間軸が相当重要です。
プレイリストに入らないと、兎にも角にも全く人に届かない時代ですので、この選ばれやすいのか、そうではないのか?は考慮すべきポイントだと思うわけです。
3)誰に向けて曲をアーティストは作るべきか?
という事を書いていつつ、それは結果論なので、曲は生れ出てきた感情やメロディを単純に大切にしたい。という気持ちが自分の中にはあります。(しかも、そもそもがそんな器用に戦略とか考えられるタイプではないし…)
でも、音楽を趣味ではなく、関わる多くの方々(例えばレコード会社の方や、スタッフ、メンバー、応援頂いているファンの方々)にハッピーにする責任がアーティスト側にあるとすれば、そこは嫌でも苦手でも、真剣に向き合うべきだと今回の件で改めて気づかされる訳です。
そして、僕がソニーミュージック方々と関わって一番知ったのは、曲を作る事はビジネスであって、
・誰向けの曲なのか
・どういう仮説で売れるのか
・売れていない時は何がずれていたのか?
そういう設計や、レビューを当然相当されており。僕らも桜唄~Scene2~を出すまで、相当な時間、曲の方向性やマーケティング戦略をA&Rの方とディスカッションを繰り返す事を行いました。
歌詞も相当書き換え、書き換え。誰向けなのか?その言葉は本当に届くのか?等々
メジャーですら、ここまで検討を繰り返す訳ですから、インディーズでも本気で売れたい(そしてそれが大切な周りの方々の為ならなおさら)なら、曲をただ作って出すだけでは、とても勝てないという事を身をもって知った訳です。
アーティストは自分の為ではなく、曲を必要としている人にその曲をきちんと届けるのが役割です。であれば自分の曲を聴いてくれる人をきちんと明確にする必要性が当然あるという事です。
4)2つの桜唄
という分析を自分なりに書いてみた訳ですが、桜唄は元々BlueHairsの代表曲として存在していて、桜の凛とした姿に心を打たれて、何も考えずにただ純粋に、その時の心情に精一杯向き合って曲生み出した作品でした。
それが昨年メジャーバージョンとして~Scene2~として再リリースされ、しっかりAppleMusicの公式プレイリストに今年入ってくるという所に、さすがだなぁと思う所あり、今後色々な曲を生み出していく時に1つの参考に自分自身出来たらという思いで書き記した次第です。
もちろん、どちらが作品として良いとか、好きとか、どっちが売れたとかいう事ではなく。同じアーティストの同じ”桜唄”という曲にも関わらず、1つは本当に純真無垢に。もう1つは戦略的に制作され、その2つの経験が出来た事が1つの自分の経験上の宝だと思っており。
アーティストとして、少し一歩自分の幅を持てるようになったのかな。と実感した今年の春シーズンになった次第です
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