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映画 DUNE/デューン 砂の惑星

二つの月、白い夜。

帝国最強のアトレイデス家、凶悪で残虐なハルコンネン家。

砂の惑星から全宇宙へ…聖戦がはじまる。

“アレハンドロ・ホドロフスキー”、“デヴィッド・リンチ”など巨匠が挑んだスペースオペラの原点。

グランドシネマサンシャインのIMAXで観たかった!

2021年10月22日に公開されたアメリカ映画、日本での公開は2021年10月15日。

監督はカナダが生んだ巨匠“ドゥニ・ヴィルヌーヴ”、原作は“フランク・ハーバート”の同名小説“デューン 砂の惑星”、“エリック・ロス”、“ジョン・スペイツ”、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による共同脚本。

エリック・ロスは現在絶賛公開中の“マーティン・スコセッシ監督”最新作、“キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン”や“フォレスト・ガンプ/一期一会”など数々の名作、大作映画の脚本を担当してきたアメリカ脚本界の重鎮。

ジョン・スペイツは“パッセンジャー”、“ドクター・ストレンジ”の脚本を手掛けた人気脚本家だ。

音楽を担当したのは“ブレードランナー 2049”でドゥニ監督とタッグを組んだ“ハンス・ジマー”

“クリストファー・ノーラン監督”からの“TENET テネット”への誘いを蹴ってデューンに参加したというから熱の入れようが違う。

他のスタッフも超一流の顔ぶれ、主演のティモシー・シャラメ(奇跡の美少年!)はじめキャスト陣も超豪華だ。

ドゥニ監督は万全の体制でこの“一癖ある?”禁断の古典的スペースサーガに挑んだ。

というのも、1965年に小説が発表されてから多くの一流アーティストたちが映画版デューンを撮ろうと挑んできたが、そのほとんどが失敗に終わった。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督は10時間以上のとんでも超大作で挑んだが製作中止に。

その顛末をドキュメンタリーとしてまとめたのが映画“ホドロフスキーのDUNE”だ。

自分はまだ観てないが、ポスターに“シドニア(シドニアの騎士に出てくる宇宙船)”みたいなのがいる!と思った記憶がある(笑)

デヴィッド・リンチは1984年に作品を完成させたが、その独特の感性からか賛否両論。

あと無事完成したのは2000年のドラマ版くらいか。

2008年に映画化に乗りだした老舗“パラマウント・ピクチャーズ”も失敗に終わる。

ドゥニ監督が自身の夢と語る“デューン 砂の惑星”の映画化。

絶対に負けるわけにはいかなかったのだ。

PART 1は物語の前半まで。

物語後半が描かれる“PART 2”は2024年3月20日公開予定(2023年10月公開予定だったが諸事情により延期)

少年は夢に見る…青い眼の少女を。

少年は救世主になる…はじめて人を殺した瞬間に。

“夢は深淵からのメッセージだ”

“ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)”、彼は帝国最強と名高い“アトレイデス家”を継ぐ者。

厳格で心優しき父“レト・アトレイデス(オスカー・アイザック)”と美しく賢き母“レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)”の間に生まれた一人息子。

“惑星カラダン”を治めるアトレイデス家は“空と海の力”で数ある“大領家”のなかでも頭角を現していた。

ポールは故郷カラダンで父から志を学び、母からは優しさを学ぶ。

そしてアトレイデス家最強の戦士“ダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア)”から剣術を学び、立派に成長していく。

宇宙帝国は“バーディシャー皇帝(シャダム4世)”が統治、各惑星をそれぞれの領主が治めていた。

“この惑星を制したものが、全宇宙を支配する”

物語の鍵となる“惑星アラキス”、通称“デューン”と呼ばれるこの星は惑星全体が砂に覆われた星。

鋼鉄をも切り裂く砂嵐が吹き、高温のため装備なしではすぐに脱水症状を起こしてしまう。

また現地の人々から“シャイー=フルード(砂虫)”と呼ばれる“サンドワーム”が徘徊しているため砂漠を歩くだけでも非常に危険。

自然豊かで穏やかなカラダンから死と隣り合わせの星アラキスに移るようレト公爵に皇帝の命が下る。

“メランジ、灼熱の砂漠を舞うスパイス(香料)”

聖なる幻覚剤であり、健康維持(抗老化作用)に欠かせないもの。

スパイスがなければ惑星間移動は不可能、安全な航海ができないため高値で取り引きされる。

そのメランジ唯一の産地がアラキス。

レト公爵は皇帝の思惑を知りながらアラキスへ移ることを決意する。

先遣隊のなかには“オーニソプター(羽ばたき機)”乗りとしても優秀なダンカンの姿も。

自分も一緒に行きたいというポールを残し、兄貴的存在のダンカンはアラキスへと旅立つ。

“我恐れず、恐れは心を殺す、恐れは…閉塞に至る小さな死、我は恐れが通過するを許す、通過後は…内なる目をそこに向けん、過ぎし跡には何もなかるべし、残るは我だけ…”

“ベネ・ゲセリット”、“教母モヒアム(シャーロット・ランプリング)”を頂点とする女性だけの秘密結社。

ポールに試練を与えたモヒアムはクウィサッツ・ハデラック(聖騎士、救世主)の到来を予見する。

アトレイデス家に古くから仕える老戦士“ガーニー・ハレック(ジョシュ・ブローリン)”、彼はレト公爵の腹心で軍師。

ダンカンから師範の役目を引き継いだガーニーは気分じゃないというポールに

“ムード?”

と言い放ち襲いかかるが、ポールの剣の腕はガーニーと刺し違えるほどのレベルに達していた。

このガーニーのムード?はダンカン・アイダホの名前(じゃがいもが頭に浮かぶ)くらい個人的にツボ(笑)

アラキスに到着したポールたちを人々は“リサーン・アル=ガイブ(救世主)”として歓迎する。

だが、本心はどうか?

アトレイデス家の人々を“よそ者”として快く思わない者もいる。

“フレメン”、砂漠の民。

“イバードの眼”と呼ばれる“青い眼”をもつこの屈強な部族との繋がりはメランジの採掘には欠かせない。

先遣隊として先にアラキスに入っていたダンカンがフレメンと交渉、フレメン側の窓口となったのが族長の“スティルガー(ハビエル・バルデム)”

彼は互いの利を条件にレト公爵に協力を約束する。

“リエト・カインズ博士(シャロン・ダンカン=ブルースター)”、帝国の生態学者で監察官の彼女はアラキスで20年暮らしている。

アラキスのエキスパートである彼女の協力も欠かせないだろう。

アトレイデス家を待っていたのはアラキスの人々だけではない。

メランジの採掘権をもつハルコンネン家の“ラッバーン(デイヴ・バウティスタ)”たち。

抑圧者とでもいうべきハルコンネン家はまさにケダモノ。

当主の“ウラディミール・ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)”は狡猾で残忍、甥のラッバーンも残虐な男で部隊を率いて非道の限りを尽くす。

薄暗い星で暮らす欲望に忠実な野蛮なケダモノたち、それがハルコンネン家だ。

侵攻してくる宿敵ハルコンネン家を迎え撃つアトレイデス家の戦士たち。

“アトレイデス!”

本来ならハルコンネン家などアトレイデス家の敵ではないが、“パイター・ド・ヴリース(デヴィッド・ダストマルチャン)”が手を回したことにより古代イスラムのアサシンを彷彿させる皇帝の親衛隊“サーダカー”が介入、制圧されてしまう。

囚われたレト公爵は妻を人質に取られやむなく手引きした“ウェリントン・ユエ医師(チャン・チェン)”の策でみずからの命と引き換えに決死の反撃を試みるが、天井に張り付いた男爵はゴキブリのように生き延びる。

囚われたポールとジェシカはジェシカの“人を操るフォースのような力”で砂漠に逃げることに成功するが、灼熱の荒々しい気候に体が耐えきれず二人は死に直面する。

二人の前に現れたフレメンたち。

そのなかにはポールが夢に見た少女、“チャニ(ゼンデイヤ)”の姿も。

ポールは自分と最愛の母が生き延びるため、チャニから渡されたクリス・ナイフ(シャイー=フルードの歯で作った神聖なナイフ)でフレメンの戦士“ジャミス(バブス・オルサンモクン)”を殺める。

シャイー=フルードに乗るフレメンたち。

“砂漠の力を手にした者が全宇宙の王となる”

すべては宿命、ポールたちは反撃の狼煙を上げる。

予告ですでに圧倒される本作(ポールの前に姿を現すシャイー=フルード!)

第94回アカデミー賞はじめ数多くの賞レースを席巻、世界中で高い評価を得た。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ版デューンが評価されているのはやはり映像、音楽、演出などその見事な世界観の再現だろう。

ドゥニ監督はデヴィッド・リンチ版を観賞、アレハンドロ・ホドロフスキー監督のデューンについても学んだ。

だが、それらを取り入れることはせず、監督自身の感性のみで作品を作り上げた。

“ボーダーライン”のヒリヒリとした緊迫感、ブレードランナー 2049での初代を超えるさらなる創造。

ドゥニ監督の無限の感性がこの作品を忠実に、そして新しいものへと昇華させた。

ドゥニ監督は原作に敬意を表しながら男性キャラを女性に変えたり自身のオリジナル要素を作品に取り入れた。

それらすべてが評価へと繋がっている。

撮影はハンガリー、ノルウェー、ヨルダン、アラブ首長国連邦などで行われた。

セットは役者が迷子になるほど巨大なものだったそう。

デューンのなかでひと際存在感を放つシャイー=フルード(サンドワーム)はCGIで製作。

その動きはクジラを参考にしたものだとか。

砂漠の砂の音は実際に砂漠で録音されたものを加工、音楽を担当したハンス・ジマーも砂漠で実際に過ごし、砂漠の音を曲に取り入れた。

ジマーは影響を受けないようデヴィッド・リンチ版の観賞を避けたという。

自分もどっちかというとジマーと同じように書くときは他の人の同じ作品に関するものは見ないようにしてます。

人間、やっぱり素晴らしいものには影響されがちで、個人的に自由な発想、創作の妨げになると思ってて。

でも良い部分を学んで昇華、ブラッシュアップして自分のものに出来る人もいるんですよねー…。

公開当時、まだ鬼のように映画館に通っていた自分はデューンを日本最大のIMAXシアターがある池袋グランドシネマサンシャインで観ると決めていた。

公開から上映終了まで約半年、空いているタイミングを狙っていたが…その日は来なかった(笑)

朝から晩まで毎日ほぼ満席だったんですよね(混んでるなかでの観賞は避けたくて!)

ネットでなんでもすぐ調べられる時代、良いものはすぐ知れ渡って人が集まるんですよねー。

ワーナーがデューンを“HBO Max”で公開と同時に無料配信したことにドゥニ監督が抗議した件。

同じ内容でディズニーといくつかの映画館を運営する企業が揉めたこともあった。

サブスクで定額料金を払えばいろんな作品に触れられる(新作でもいくらか追加すればほぼどんな作品でも観られる)現代において、ドゥニ監督がいう海賊版が利を得ることになるというのは分からないが(個人的に海賊版や違法アップロードになんの価値も感じないので)、興行収入に影響する、映画館の大スクリーンで観てこそエクスペリエンスを体感できるという点には大いに賛同する。

自分が映画館に行かなくなったのは映画館そのものが嫌いになった訳ではなく、別の理由で行かなくなっただけで映画館自体は好きだし、応援したい気持ちはすごくある。

どれだけ頑張ってもサブスクでの観賞では映画館の迫力には到底敵わない(特にグランドサンシャインのIMAXには絶対無理、めちゃくちゃデカいんで!笑)

作品作りを継続するためには興行的な成功は不可欠。

作品観たさで新たにHBO Maxに加入する人もいるかも知れないが、それが映画の興行収入に影響する訳でもなく、既存の会員は無料で観れてしまう。

PART 2は劇場での独占公開、サブスクは後から。

自分が観たいと思う作品に出し惜しみはしないので、クリエイターにとって一番+になる形を望みます。

香料をめぐる利権、栄華栄光への妬み。

レト公爵はフレメンに対し協調の姿勢で臨んだが、ハルコンネン家は排除の姿勢で虐殺した。

イバードの眼、フレメンとしての顔をもつリエト・カインズ博士。

原作では男性でチャニの父親だった彼女が物語後半の鍵を握る。

“スター・ウォーズ”や日本の“ナウシカ”にも多大な影響を与えたのではないか?

そう思えるほどの壮大な物語。

ドゥニ監督の夢の成功は2024年3月20日公開予定の“デューン 砂の惑星PART2”が握る。

フランク・ハーバートが残した“デューン・シリーズ”は6作品あるので、砂の惑星が成功すればドゥニ監督の夢は広がり続けるかも知れない。

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