自転車操業
「最初から最後まで、僕たちは自転車操業だと思うよ」
と師匠がおっしゃった。
今年の10月から、ロシア語の入門科のレッスンをオンラインでさせてもらっている。
なにしろ生徒さんのやる気がとてもある。過去、ミールロシア語研究所の生徒だったときの私はものすごくぼんやりしていたので、今の彼らのようにしっかり単語の綴りとか覚えてこなかった。
情けない話を正直に書くと、私は10年ほど前にロシア語を始めたから、今は教科書の2課とか3課だから、まだ学びの貯金(?)があるけれど、彼らの学ぶスピードが速かったら、あっという間に追いついていらっしゃるかもしれない。
あっという間にテキスト「標準ロシア語入門」を終えられたら?
「いいじゃない、その次の教科書を一緒にやれば。」
その次の教科書、というのはミールロシア語研究所の入門科を終えたあと「進級試験」に合格したあかつきには予科に進むのだけれども、そこで扱っていた教科書のことだ。
1冊は東先生ご夫妻が「標準ロシア語入門」の次の段階の本として出版された本で、絶版なのだけれども、まあいろんな意味で幻のすごい本なのだけれども残念ながら絶版で、私はこの10年色々と手を回して本を入手してPDF化した。その音源についてはミールの級友がすごく苦労して神保町の古本街で入手したのを私にくれた。すべてミールの時代の人脈がなかったら叶わなかったもので、今私自身それらを勉強に使っている。
もう1冊は、神保町のロシア語専門書店、ナウカ書店で英語版を買うことができる。それのことだ。
(後者の英語版についての詳細は下に書きました。またはわたしのオンライン授業にいらした方にお伝えしたいと思いますので有料にしてあります)
その教科書ら、私も完璧かと言われたら全然そんなことはなくて今私も普通に勉強しているし、出てくる単語や動詞の変化とか、格との接続とか、逆訳とか、自分の師匠のように自由自在に使えるかと問われたら怪しい。
ただただ、私に言えるのはミールロシア語研究所でノンネイティブの外国語の勉強の仕方を教えてきてもらい、自分も学習者として良い方法を経験で知っているということだけで、予習の教材をせっせと作って勉強の手助けしているぐらいである。
だから一緒に勉強している。
「そうしたら自転車操業ですね」、って私が大笑いしながら言ったら、師匠は冒頭のようなことをおっしゃった。ミールロシア語研究所で20年以上教えていらした師匠K先生。
「いいじゃない、自転車操業で。むしろ”僕ら”はそれしかできない。
ボクがミールで教えていたときにね、通訳の人も何人かいたよ。一人だけじゃなくて、2,3人は居たと思う。当時のボクよりできるのではないか、って思ったけれど、彼らはすごく謙虚で、まだ勉強することがあるから、と東多喜子先生にお願いして、入門ではないけど予科に通っていた。
ボクとハルカさんの差は、実はそんなにないんですよ、経験の差はもちろんあるけれどね。
一日20時間勉強したって、ボクの2、30年の通訳経験にすぐ追いつくことはできない。そういう(通訳や語学教師の)仕事を、信頼して任されて、経験を積んだ。
100の力になってから通訳や語学教師をしようったってそんなのいつになるかわからない。60ぐらいのレベルから仕事をお受けして、経験を積んでいくしかない。
というわけで自転車操業を恥じることなく勉強すればいい、だってそれしか僕らはできないから。いきなり山頂にヘリコプターで登る方法はないし、しかも頂上は見えないし。漕いでいることだけが、自分を認識できる。ただし勉強を辞めたら車輪が外れて落ちていってしまうけれどね。」
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