【オランダ移住 vol.37】オランダ現地校の保護者会
一昨日は午後7時から娘の学校の保護者会だった。
早寝が多いと噂のオランダでは開始時間が遅すぎる気もするが、別の教室で子どもを遊ばせておけるとのことで、娘も一緒に家族3人で行くことにした。
学校に着いて娘を教室に預け、会場である大きめのホールに入ると、月火のクラスを担当している教師が「奥のほうに座って」と言ってきた。どうやら彼女が英語で通訳してくれるらしい。
70~80ほど用意された席は7,8割埋まっており、その内訳はぱっと見でシリアやアフガニスタン系が6割、他のアフリカ系が3割、残りはオーストラリア、アメリカ、日本などの少数派だった。
しばらくすると校長らしい女性が前に立って話し始めた。
彼女の横にはヒジャブを被った教師が立ち、オランダ語で話される校長の話をアラビア語で通訳する。
同時に後方では娘の担任が我々に向けて英語で説明をしてくれる。
話の内容は職員の紹介から始まり、学校の方針やビジョン、放課後のアクティビティなど1時間に及んだ。
ふと、オランダ語もアラビア語も英語も分からない保護者はどうするんだろう?と思ったが、それならここには来ていないのかもしれない。
ちなみに隣に座ったトルコ人の保護者は「アラビア語は分からない」と英語での説明を聞いていた。
翌日、娘を学校に送った際に娘の同級生のウクライナ人のお父さんがいたので「昨日来なかったね」と聞いたら、「昨日は16歳の息子が近所のウクライナ人に連れていかれそうになって警察を呼んだりして行けなかった」と暗い顔で話してくれた。
彼が住んでいるアパートには100人近いウクライナ人が住んでいるようだが、たまにそういうイザコザが起こるようだ。
そういえば、娘の学校にはオランダ語サポート校、現地校ともオランダ人の子が一人もいない。
もしかしたらオランダ国籍の子はいるかもしれないが、見た目明らかにオランダ人という子は見たことがない。
昨日の保護者会の様子からしても、ほとんどの生徒が移民なのだろう。
オランダでは公立でも小学校を選ぶことができる。
実際には3校くらいまで希望を出して基本的にはその中のどれかには決まるようだ。
つまり、娘の通っている学校に希望を出すオランダ人はいないのだ、きっと。
娘の場合はオランダ語サポート校なので、こちらからは選べない。
住んでいるエリアで空いているところを割り当てられ、そこに選択できる感じはなかった。
実際、娘の学校はほぼ完全に移民向けの学校なのだろう。
周囲にオランダ人家族も少なからず住んでいるようだが、彼らは毎朝娘を送っていく我々とは反対方向へ、このエリアから出て別の学校へ向かう。
校長が「前年度はライデンで2番目に優秀だと言われる小学校から生徒たちが来て交流会を行った。この学校の生徒たちもそういった学校に興味を持って転校したいと言う子も出てくるかもしれない。わたしは生徒たちに外の世界を見てもらいたい」と誇らしげに話していた。
つまり、この移民コミュニティ内にある移民向けの学校は閉ざされた世界という認識なのだろうか。
1年間のオランダ語クラスを終えた娘のクラスメイトのうち、難民ではない子たちはみな家の近くの別の学校へと編入していった。
が、難民の子たちの何人かはそのまま隣の現地校へと編入した。
この子たちの将来はどうなるのだろう。
どこかの段階で校長の言うようにこの狭い世界から外に出られるのだろうか。
それとも死ぬまでこの狭い世界に囚われ、希望を次の世代に託すのだろうか。
今は屈託なく娘と遊んでくれるシリア、アフガニスタン、ウクライナなどからのクラスメイトたちがこの先オランダで自分たちの居場所を見つけられたらいいなと思う。