【オランダ移住 vol.50】勘を信じて会ってみた
わたしは勘が鈍い。
これまでの人生で勘が当たった憶えはまったくないし、良い予感も悪い予感も感じたことがない。
おそらく頭でっかちなのだろう。
感じたりする前につい頭で考えてしまう。
あーでもないこーでもないと頭で考えているうちに最初に感じたことはどこかに行ってしまい、残るのは自分というフィルターを通して弾き出された分析結果だけとなってしまうのだ。
そのせいで損をしていることもあれば得をしていることもあると思う。
「自分の勘を信じてやってみました」とか「感じたままに動いてみました」みたいなことをいつの日か言ってみたい気もするが、もうずっと長いこと「考えてから行動する」ということに慣れきってしまっているので、今さら考えることをやめて自分の感性のみに従って動こうと思っても何もできない。
「あれ、俺はいま何を感じているんだろう」と考えている時点ですでに失敗しているからだ。
というわけで今回は、もしかしたら感じたままとか勘頼りとかいうわけではないのかもしれないが、自分にしては珍しく考えすぎずに「あ、これいけるんじゃないかな」という思考段階で行動してみたという話だ。
12月後半に娘のオランダ語サポート校と日本語補習校の両方とも冬休みに入り、特に何も決めていなかった我が家はボーっと家で過ごすことが多くなった。
10月の秋休みにドイツチェコオーストリア弾丸旅行もしたし、この冬休みはとりあえず近所でいいや…と思っていたが、休みも半ばを過ぎるとやはりどこかに行きたくなってきた。
が、調べてみるとバスのチケットはまだいいがホテルが高い!
我が家の通常予算一泊€100前後ではとても見つからない。
それならばオランダ国内日帰りなら…と考えてグーグルマップを眺めていたら、北の方にはまだ行ったことがないのに気が付いた。
このクソ寒いのにさらに寒い北…とも思ったが、フローニンゲンあたりへの日帰り旅行なら寒くてもそれほどダメージも食らわないだろう。
そして北と言えば、このnoteでわたしの記事によくコメントしくれるY太郎さんが北の方に住んでいるではないか!
フローニンゲン観光の際にちょっとでもお会いできれば、さらに言えばちょっとでもお宅にお邪魔できれば、遅れてきたクリスマスプレゼントみたいなものになるのではないか。そんなことを思い付いてしまった。
が、当然のようにこんな疑問も湧いてくる。
会ったこともない、しかもnote上で少しやり取りしただけの人間からいきなり会いませんか?なんて言われても困るのではないか。
当たり前だ。
そこで頼ってみたのが自分の「勘」だ。
SNS上で見知っただけだが、
たぶんこの人は予定が空いていれば快諾してくれる。
たぶんこの人はおうちにお邪魔してもいいと言ってくれる。
たぶんこの家族はうちの家族と気が合う。
たぶん尽くしだが、この「たぶん」はかなり確度が高い「たぶん」だ。
いろいろ考えていてもしょうがない。もしダメならそれでもダメージはほぼゼロ。ちょっとしんみりしてしまうくらいで済む。
逆にもしOKが出たらこんなに嬉しいことはない。何を迷う必要があるのか。
断っておくが、わたしはいつもこんな風にSNS上で知り合った人に会いましょう!と言うような人間ではない。そんなことが普通にできていたら周り中がダチや親友でいっぱいになっていたことだろう。
何度も書いているように自分の勘がさっぱり当てにならないので考察や分析を重ね、重ねているうちに自分でNGを出したり、タイミングを逃してしまっているタイプなのだ。
というわけで、わたしにしては珍しく意を決してメッセージを送ってみたところ、次の日だったか「ぜひお会いしましょう! なんならうちまで来てください!」という温かい返事が返ってきて、そこからはとんとん拍子に話が進み、結果的にY太郎さん宅訪問は素晴らしいものになった。
わざわざ駅まで出迎えてくれた上に素晴らしい食事をご馳走になり、いろんな話もできて本当に楽しい時間を過ごさせていただいた。
途中からは「フローニンゲンに行ってみる」という当初の目的はどこかに消え失せ、気付いたらY太郎さん宅からそのまま自宅に帰ってきてしまい、けっきょくフローニンゲンにたどり着くことはなった。
が、そんなことはどうでもいい。
今回の訪問は楽しい時間と一緒に「フローニンゲンにけっきょくたどり着かなかった小旅行」としてずっと我が家の記憶に残り続けることだろう。
そして、今回の成功でわたし自身ももう少し自分の勘を信じて行動してみようと思えるようになれるかもしれない。
そんな風に考えるきっかけを与えてくれたY太郎さんとご家族、どうもありがとうございました。