演奏が上手いということ㉔
昨日の話とは裏腹にまたこの続きを書くことにしました。
というのもピッチコントロールの話を書いたからです。
正しい音程で楽器を鳴らす、これは正しいようで正しくない。
むしろ「揺らいだ音程」の方がいい演奏です。
昨日も書きましたが、ボカロの場合「調教」という作業を行います、
「正しい音程」だと表現にならないんですよ。
またこれは別の記事で書くことになると思いますが、その要因は「人の音程」が正しくないことに由来していると考えています。
楽器の方がよほど「正しい音程」が出る。
それだけ歌は難しい。
でも、人間である以上、そこが標準になります。
だから過剰に正しい音程は「異物」として捉えられやすい。
「ありえない音」を聴くと普通に違和感をおぼえるでしょう。
でも人間の耳にはその「ずれた音程」が基本としてある。
だから「正しい音程」は異物なんですよ。
ピアノの普及以後、状況は変わっているとは思いますが、人類の歴史からすると、ピアノなんて極めて最近の楽器です。
むしろ「正確な音」が出しづらい弦や管が音楽(西洋音楽)の標準です。
まあピアノの調律自体が正しい訳ではありません。環境によって音程は変わるし、コンディションによっても音程は変わります。もしそうでなければ「調律師」という職業は成り立ちません。
ただ、過去の感覚は今もまだ普通に息づいている。
逆説的な話になりますが、「ずれた音程」の方が「正確な音程」より良く聴こえます。
それが「普通の音」だから。
もちろん、これはずれの程度も大きく影響していて、ずれが一定の範囲内を超えると「下手な演奏」になる(これは音程に限った話ではありませんが)。
まあ雲を掴むような話ですが、それが「音楽」というものです。
標準音A=442Hzでは耐え切れない人。実際には存在します。
A=440Hzでないとだめな人。
最近ではA=440Hzがだめな人が多いかもしれない位、高音化が進んでいますが。
実際以前はAは半音程度低かったとも言われていて、バロック音楽の演奏にはこのような音程が使われている。
でもそう考えると、何を持っていい演奏なのかが分からなくなる。
明日はその点にフォーカスを当てて記事を書きたいと思います。
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