Ⅲについての見解②
もう一つ重要な点があります。
ポピュラーだとあまり気を使わない方が多いと思いますが、Ⅲを第1転回形にしたらどうなるか、を考えてみてください。
ハ長調で考えると低い方からミ・ソ・シと並んでいたものがソ・シ・ミとなった場合です。
ドミナントートニックの流れで勘違いしている方が多いのですが、いわゆるドミナントは「三全音」をコード内に含む必要があり、Ⅴは属七の和音であるべき、という考えは間違いです。
ソ・シ・レだけで充分ドミナントです。
Jazz系の人はこのような考え方に否定的ですが(属七の和音でないといけない、という方が多い)、Ⅴという概念はJazzの成立前からある話ですから(笑)。
もちろん「三全音」が緊張を高め、トニックで解決する、という考えは間違っていないし、ファが半音下降でミになる、という意味で強力なドミナントという点については間違いありません。
ただ昨日も書きましたが、Ⅴ-Ⅰ進行で一番重要な点は、調性の主音であるドの導音であるシをⅤの和音が持っていること、Ⅴ-Ⅰはいわゆる「強進行」だからです。
繰り返しになりますが、「強進行」というのは完全4度の上行、もしくは完全5度の下降を指します。
で、この観点からすると、Ⅲの第1転回形は最低音がソードの強進行かつ、主音たるドの導音を持っている、と考えられるため、この場合もドミナント的な機能が強くなります。
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