ミュージシャン④宇多田ヒカル~42 「君に夢中」
いやあ、とうとうここまで来ましたね。自分でも良く書いたと思います。
というかここまで書けると思ってませんでした。
最新シングルまで来ましたから。
やはり凄いですね。普通ならこれだけ一人の方の曲を聴いて記事を書き続けると、さすがに途中でいやになると思うのですが、聴いていると色々な発見があって面白かったです。
って書くと総括が書けなくなるので(ってまだ書くのかよ、って思われそうですが(汗))、ちゃんと曲について書きたいと思います。
特に最後だし、気合い入れて書かないと。
と思ったのですが、聴いていて気合いの入る曲じゃないですね(笑)。
基本形は同じコードパターン(いわゆる王道進行)の繰り返し、イントロや間奏でしか主和音が出てこないのも独特の浮遊感を生む要素になっています。
「Stay Gold」にコード進行が似ている、という評論家がいるようですが、耳悪いですね(笑)。
イントロや間奏があるから調性が明確になるのであって、ドミナントモーションが主旋律に含まれている「Stay Gold」とは全く別の曲です。
ⅢmとⅠ△7では全く意味が違うんですよ。ずっと前に書きましたが、Ⅲは必ずトニックという訳ではなくドミナントでもある訳ですから。だからその後のⅥが活きる訳です(当たり前ですが、平行調(自然短音階)ではⅤmーⅠの関係となる強進行です)。
ちなみにⅢについては延々と記事を書いたことがあるので、万が一ご興味のある方がいらっしゃれば、お読みくださいませ。
王道進行ってそれだけだと調性感は低いんですよね。ただやはりドミナントモーションって進行として強いんですよ。強進行ですし(笑)。だからどうしてもどこかで使った方が曲が安定するんですよね。
特にこの曲だとⅤが属七の和音であり、かつ第三転回形になっているのでなおさら浮遊感が増しています。その後のⅢmへの進行は教科書的には×ですが、教科書なんてどうでもいいのでこれでいいんです。
しかも王道信仰には平行調の強進行がある分、そちらが強くなりやすいため、主調のドミナントモーションがあった方がバランス的にもいいです。
もちろん王道進行だけで出来ている曲もありますが、だからこそ数的には少ないんですよ。
やはり単独だとワンパターンな印象を持たれやすいし、使い辛いと思います。
でもこの曲聴いても全くワンパターンではありません。
むしろ様々に展開していきますよね。
やはりコード進行だけで曲は語れない、といういい例だと思います。
リズムと旋律、そしてアレンジとの組み合わせが絶妙なんですよね。
旋律を強調している部分とリズムを強調している部分の差異を明確にしているから、聴いていて単調さを感じさせないんですよね。
で、それをアレンジで上手く繋げている。
曲自体としては「One Last Kiss」の方が独創的で、個人的にはやはり「One Last Kiss」の方が好きな作品ですが、ほぼ王道進行だけでここまでの曲ってそうそうないと思います。宇多田ヒカルさん自身がそう考えてやっている訳ではないと思いますが。
シングルの記事として、最後を締めくくるのに相応しい作品だと思います。
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。