空間認識⑯

昨日の予告通り、洋楽と日本の音楽との「空間認識」の違いについて考えていきたいと思います。

まず最初に考えられるのは以前にも書いた「編成」の問題です。日本の歌謡曲に見られたようなビッグバンドのスタイルは、洋楽ではかなり前から主流では無かった、という点は確実にあるでしょう。

やはり編成が少ないと一つ一つのパートの音が気になりますから、レコーディングにおいても、そこをきちんとしないとやはり気になるでしょう。

後、「音の聴き方」の違いもあると思います。日本だと音楽は部屋で聴くことが多いと思いますが、向こうだとそうでもないんですよ。

別に自分自身はキリスト教徒ではありませんが、やはり「教会」の存在は大きいと思います。

今はそれほどではないようですが、昔であれば週に1回教会に行き、そこで歌が歌われることが多いのですが、これが西洋における空間認識と大きくかかわっていると考えています。

教会って割とホールに近いような音の聴こえ方がするんですよ。広さもそこそこあるし、建物自体がしっかりしています。

この建物がしっかりしている、というのが結構重要なんですよ。建物の「素材」が違うことが原因です。木造建築なんて向こうではあまりなく、しっかりした素材で建物が作られているので、残響音がしっかり生まれるんですよね。

この残響音と、ほどよい空間の広さの相互作用が音楽にとっての「自然な空間」を生み出すことになります。

で、そういった空間に慣れ親しんで暮らしていれば、それが「自然な音」になっていく訳です。

もちろん今の音楽用のスタジオでは残響音は極力低減させるように設計されています。それは後から加工する際に自然な残響音が「邪魔な音」になるからであって、後で結局リバーブ使う訳ですから、やはり教会のような「ホール的な音」に慣れているかどうかが、日本と欧米での感覚の大きな差になって表れているのだと考えています。

そういう意味だと木造建築でテレビで歌番組を聴いているのとは音に対する感覚が全く違ってくるんですよ。

もちろん最近では木造建築も少なくなりましたが、日本は空間が狭いですから、なかなか欧米の人のような感覚にはなれないと思います。

まあどっちがいいか、という問題ではなく、感覚の問題ではあるのですが、やはり音楽作品にとってどちらの環境がいいか、と言われたら、自分自身は欧米のような音の感覚を選ぶと思います。

他にも音楽の「尺」の問題も影響していると思いますが、この辺はきちんと検証していないので、また別の機会にでも。

明日からは自分自身の音楽に立ち返って、この問題を考えてみたいと思います。

やはりこういう記事を書いていると、お前の曲はどうなんだ、と思われるでしょうし、やはりその時は「正しい」と思ってやっていたことが間違いである可能性もありますから、再検証という位置づけで記事にしたいと考えています。

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