ミュージシャン④宇多田ヒカル~36 「パクチーの唄」
基本これまでシングルしか取り上げてきませんでしたが、何だかこの曲だけは外せないんですよね。
「こ~りゃなんだ~、コリアンダー~」という冒頭のフレーズは、さすがにここまでやるのかよ、と思いましたが。
もはや好きなことだけやっていればいい、そんな境地に入ったことさえ感じさせますね。
ただこの部分は置いておいたとしても、曲自体は良く出来ているし、いたって真面目。歌詞すら冒頭の部分を除けば至って真面目(笑)。
コード進行も説明困難な不思議さを持っていて(出来なくはない)、詩の世界と相まって不思議な作品に仕上がっています。
シンプルなアレンジもまた良いと思います。この曲で華美なアレンジをしたら、曲の世界観が壊れてしまいます。
で、アルバムの中に入っていても全く違和感がないどころか、むしろスパイスのようになっていて、いい雰囲気を生み出しています。
だからコリアンダーなのかな。
「Fantôme」と比べて「初恋」の方が色々な色を持っていて、それがこのアルバムの特徴になっている、その特徴を表している作品だと思います。
「Fantôme」は母親の喪失というテーマがどうしても作品の後ろ側にある分、そういった要素は持ちにくかったんだと思います。
そういった背景を持たない「初恋」の方が自由度の高い作品になっているんでしょう。
個人的には「Fantôme」の方が好きなアルバムですが、両方とも甲乙つけ難い名盤だと思います。
特にこの曲以降の流れが「初恋」では好きな部分ですね。
何だか最後はアルバムの話になってすみません。
でもこの曲が好きなことには変わりません。
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