音楽は儲かるのか㊶

今日も予告通り、カバーすると失敗する曲について書きたいと思います。

この曲もカバーする人、多いんですよね。

宇多田ヒカルさんの「First Love」です。

この曲の場合、「未来予想図Ⅱ」とは少しポイントが違っています。

もちろん名曲であることは間違いないし、作品総体としても優れた作品である、ということは言うまでもありません。

以前にも書いたことがありますが、この曲のポイントは、イントロ、特にそのコーラスワークです。

この頃は宇多田ヒカルさん、編曲はしていないので、おそらく河野圭さんの
力による部分が大きいのかもしれません。

ただこの辺の塩梅というのは実は難しい。

どちらかというと、考えたというより感覚的なものに近いのかもしれませんが。

良く出来たイントロ、実は危険性が高い。

良く出来ているが故に汎用性が出てきてしまう。

それこそ「真夏の果実」のイントロ、あの曲のイントロである必然性がありません。

イントロだけで良く出来ているし、それ以降との関連性が低いから、他の曲に合わせても使えるでしょう。

まあ現実問題としてはあそこまで有名になってしまうと出来ませんが、それはイントロの特性によるものではなく、有名になりすぎたからです。

その点、「First Love」のイントロは違います。

やはり曲のメロを引きずって出来ているし(その点「真夏の果実」は全く引きずっていない)、やはり宇多田ヒカルさんのコーラスワークが特徴であるが故に、独自性が出にくい。

「First Love」のイントロからコーラス抜いたら全く印象が変わるはず。

これは今でもそうなのですが、宇多田ヒカルさんの場合、結構使っているトラック数は多いのですが、実際にはオケで使っているトラックは少なくて、大半のトラックはヴォーカルトラック。

で、もしイントロのコーラスが宇多田ヒカルさんのそれでないとすれば、本体との間にどうしても乖離が出ますが、本人がやっているから分けることが出来ない、一体感のあるものになっている。

制作者側はそこまで考えていないかもしれません。

というか、他の人がコーラスをやった時点で、全く違った作品になってしまうから、危険なこと極まりない。

繋ぎを良くするためにはこれ以上のものはない、という完璧な手法。

で、ここまでやってしまうと、もはやそれ無しでは成り立たない曲になってしまう。

実は「First Love」のカバーが上手くいくかどうかは、どれだけ原曲のイメージを残すか、がポイントです。

あの部分を変えたカバーの成功例はないでしょう。

でもこれだけでは「劣化版First Love」を作るだけになりかねない。

だから、この曲、カバーが好ましくない作品ということになります。

原曲と違っていれば違和感が出てしまい。原曲に近づけると、単なる劣化版になります。

でもこれだけカバーされている、というのはやはり優れた作品であるが故です。

マーケティングを越えたところで、「歌いたくなる曲」なんでしょうね。

他にもカバー厳禁な曲は多いのですが、明日は敢えて外し、カバーをするかどうかが微妙な曲について書きたいと思います。

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blue but green
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。