作曲・編曲㊾
今日は洋楽を取り上げてみたいと思います。
Whitney Houstonの「I Will Always Love You」です。
日本語だと「ホイットニー・ヒューストン」ですが、どう聞いてもこの綴りにはならないと思うのですが(笑)。「ウィットニー・ヒューストン」の方がまだいいでしょう。
何かの新聞記事で読むまでDolly Partonの曲であることを知りませんでしたが。
というよりDolly Partonが作曲をしていることすら知りませんでした。「歌手」という認識しかありませんでした。
多分この曲を知っている方の内、95%以上がWhitney Houstonの歌っている曲だと思っているのではないでしょうか。
調査した訳じゃないけど(笑)。
まあ自分も新聞で読むまでは95%の側だった訳ですから。
ジャンルの影響ももちろんあるんだろうと思います。やはりカントリーは日本では馴染みがないですからね。
原曲も決して悪くはないんですよ。というか普通にいい曲、というか相当いい曲です。
ただ如何せんアレンジが野暮ったい。
もちろんかなり古い曲のせいもあるかもしれませんが、74年の曲なので、この位の時期の洋楽であれば、普通に今でも通じるアレンジの曲はたくさんあります。
まずイントロからダサさが滲み出ています。全体的にどよ~んとした雰囲気、途中で挟まれるギターがまたセンスゼロ、これDolly Partonの曲と歌があればからこそ作品として成立しているだけで、アレンジ面からすれば評価する点が思いつきません。
この曲に目を付けたDavid Fosterは凄いと思います。
自分がアレンジすれば、と思ったんでしょうね。
イントロ無し、アカペラで始まるverseも、何が起こるんだろう、と思わせておいて、choruでドカン、ではなく、少なめから徐々に入れていくオケも素晴らしい。
で、ここで聴かせるのが何かを理解しているアレンジですよね。あくまでもボーカルを如何に聴かせるかに主眼を置いて作られています。
後、圧巻は最後の転調ですよね。この手の転調ってはっきり言ってそれだけ取れば誰でも出来る、転調と呼ぶ価値もないような転調ですが、Whitney Houstonの圧倒的な歌唱力が、この転調を見事なものにしている印象です。
後、全く転調に入る前に伏線なり契機になる部分がないのも、更に彼女の歌の効果を高めています。いきなりだから一層効果的です。
David Fosterも彼女なら出来る、と踏んでこのような作りにしたのかと。
Dolly Partonの曲がこじんまりしているのに対し、Whitney Houstonの方は壮大なバラード、という印象ですよね。
でもだからと言って、このアレンジでDolly Partonが歌ってもダメなんですよ。歌い方が違うから。あのアレンジはともかくとして、変えるとすれば温かみを感じるようなアレンジにしないと合わないと思います。Whitney Houstonならではなんですよね。このアレンジは。
この辺がアレンジの深いところなのかと。やはり歌い手によってもアレンジは変わるものだし、絶対的な正解があるものでもない、だからこそやり甲斐のあるものなんだと思います。
それにしてもこのアレンジは凄いですね。ちょっと古い部分もあるのですが、今でも絶対的な力を持っている、というのは時代を超えたアレンジだからだと思います。
Dolly Partonの曲も素晴らしいし、David Fosterのアレンジも素晴らしい、Whitney Houstonの歌も素晴らしい、だからこその作品ですね。
これだけ書くと疲れるので、また明日からはあのつまらない連載にでも戻ろうかな(笑)。
でも何でコードを取り扱っていて一番人気の高かった記事がaugなんだろ…。基本「コード」という連載は人に読まれることを想定していないのに、あんな変なコードの記事が読まれるなんて思ってもいなかった(笑)。augマニアなんて聞いたこともありませんが…。