2019年以降④
実働は2020年ですが、あの曲が発表されたのが2019年だったので、やはりこの方達について書かざるを得ないでしょう。
YOASOBIです。
「夜に駆ける」、この曲はやはりこれまで概念を超える曲だったと思います。
前に上げた2つのグループはなんだかんだ言っても、それまでの「延長線上」にあったんだと思うんですよ。
一方、YOASOBIの場合、これまでのJ-POPの概念から大きく離れたところに突然出てきた、という印象です。
良くボカロPだから、という言われ方をするのですが、そういう問題ではないと思います。
例えば米津玄師さんもかってはそうだったじゃないですか。でも米津さんの場合、今やっている曲をどう聴いても、やはりこれまでのJ-POPの流れの中にいるんですよ。
ただ「Lemon」ってそんなに凄い曲なのかなあ、とは感じています。最初の部分、いきなりカノン進行的な進行で始まって、メロまでそれに引きずられているから、これはさすがになあ、と感じてしまいます。
カノン進行的な部分があってもいいし、自分も使いますが、それに素直に従うメロがどうなの?、って感じです。
また脱線してしまいました(汗)。
ただその流れで考えるとYOASOBIの場合、「突然変異」に近いような存在だと思います。
「ボカロP」という部分が良く強調されますが、自分自身の印象としてはそれともまた違うような気がしています。
YOASOBIで使われるコード進行、いわゆる「王道進行」と「Just The Two Of Us進行」の組み合わせが多いのですが、これって明確に「狙い」があるんだと思うんですよ。
単にいいと思ったから使っているだけかもしれないけど(笑)。
「Just The Two Of Us進行」って派生パターンも多いですが、基本的には、
Ⅳ(△7)ーⅢ7ーⅥm(7)ーⅤm7ーⅠ7
で出来ています。
日本だと丸サ進行と呼ばれることも多いですが、こちらが本家です(笑)。
基本的に「調性感の弱い進行」なんですよね。実際にⅣをⅠと勘違いして誤ったキーを乗せているサイトも多いです。
というのもⅤがマイナーコード、Ⅰに7の音が付くから、ⅣをⅠと解釈すると、Ⅴm7ーⅠ7ーⅣ(△7)の部分がⅡm7ーⅤ7ーⅠ(△7)となり、この部分を取ると、綺麗なⅡーⅤーⅠ進行となっていて、ドミナントモーションになっていることが分かります。
もちろん解釈上は何故Ⅴがマイナーコードかというと、同主調の和声の借用、Ⅰに短7度の音が付くのは次のⅣの根音に対して半音進行させるための経過音です。
実はこの問いに正解は無くて、別に頭のコードをⅠと解釈することも出来なくはありません。
ただこれに「王道進行」の「ⅣーⅤーⅢーⅥ」(ⅢとⅥはマイナーコードですが、ダイアトニックコードだけなので、mは省略)が並ぶと、ⅣをⅠと解釈すると不自然なんですよ。基本「シンプルな進行」を崩すことになるので、やはりこの頭はⅣと解釈するしかなくなります。
そうすると自然に「Just The Two Of Us進行」の部分もⅣ始まりなので、これはⅣと解釈するしかなくなります。
どちらも定番的に使われる進行ですが、この2つの進行を組み合わせることで、「狙い」を明確にしているような印象です。
まあ何回も使っていれば、「ワンパターン」になりかねませんが、同じような系列に上げられる方の中で考えると、抜きん出た存在だと思います。
そういいながら今聴いているのはLisaさんとUruさんの「再会」ですが(笑)。
YOASOBIもいいんですが、やはり自分にとってAyaseさんの曲はやはりこの曲ですね。やはりコード進行の基本は「夜に駆ける」と近い、というより基本一緒のパターンですが、YOASOBIの時だと自分の「好き」を前面に出している印象であるのに対し、この曲は明らかに二人を意識して、どうこの二人を活かすのかを考えながら書いた印象です。
ただYOASOBIに限らず、最近の曲、最後の半音上昇転調が何で多いんですかね。効果がある、というのはもちろん分かるのですが、最近は氾濫し過ぎているような気もします。
自分自身は100%使わないので、なおさらそのような印象を受けるのかもしれません。