カバー⑫
今日は別の例から、歌が上手ければいいカバーになるか、について書いていきたいと思います。
もともとカバーがきっかけとなってデビューしたUruさん、多分感情を大袈裟に表現しない、という意味ではもの足りなさを感じる方もいらっしゃるとは思いますが、今のトレンドからすると自然な歌い方をする方で、やはり歌は上手いと思います。
ずっと聴いていると、その要素が原因となって聴き飽きる、という方もいらっしゃるとは思いますが。
ただ個人的には今を代表する「歌い手」と言っていいと感じています。
実際自分自身好きな歌い手で、「再会」と「あなたがいることで」は毎日最低1回は聴いている位、好きな歌い手です。
作曲もされますが、「プロローグ」と「あなたがいることで」は好きな曲でしたが、最近はちょっとぱっとしない印象です。
というより新しい曲を作っても、どうしてもこの2曲と比較されるから厳しいだけ、という気もしますが。
ただやはり歌はいいですね。
そういうUruさんでも、やはり合っていないなあ、と感じる曲もあります。
一番それを感じたのはZONEの「secret base 〜君がくれたもの〜」でした。これはオリジナルの方が断然いいと思います。この頃のUruさんより今の方が歌の上手さは相当レベルアップしていると思いますが、今歌っても差が縮まることはあったとしても、結論は同じになると思います。
この曲の場合、歌詞の世界観が明確であるが故に、ただ上手く歌えばいい曲ではないんですよ。
この曲のもつ初々しさが表現できないと難しいと思います。やはり幼い頃の想いを歌にした(大人の考える「幼い頃」でしかありませんが)作品なので、歌の上手さよりも、想いをなんとか伝えたいというある種の「必死さ」が必要になると考えています。
もちろん人の心に響く歌にするには一定の年齢でないとやはり難しくて、ちょうど当時のZONEのメンバー辺りの年齢、技量がちょうどいいバランスを作り上げているのだと思います。
そう考えると、Uruさんの歌には余裕があり過ぎるんですよ。
ZONEのような「精一杯歌っている感」があった方がこういった曲の場合、心に響くものです。
というのも曲に込めた想いが精一杯な想いだからです。
もちろん、最低限必要なレベル感というのはありますが、そこさえクリアしていれば、歌が上手いといいカバーが出来るということではなくなる、といったところでしょうか。
ZONEのメンバーよりもUruさんの方が歌は上手いとは思いますが、だからと言ってUruさんの方がいい作品が出来るとは限らない、如実に示している例だと思います。
というかオリジナルが圧倒的にZONEに合っているが故に、多分この曲はカバーしない方がいいかもしれない、そう感じています。
May J.さんのなんてこれ出しちゃダメでしょ、的なレベルだと思いますし。
この曲のカバーで成功例を聴いたことがありません...。