ミュージシャン④宇多田ヒカル~5「Wait & See 〜リスク〜」
次に「Wait & See 〜リスク〜」ですね。今気づいたのですが、シングルの作品で日本語が入ったのは初めてだと思います。
ただこの曲も洋楽的な作りです。Aメロとサビのコード進行が一緒ですよね。もちろん日本にもこういう作りの曲はありますが、洋楽の方が明らかに出現頻度が高いと思います。
後、シングルではこの曲がいわゆるJ-POP的なイントロを持っている初めての曲でしょう。
もうこの時点では「宇多田ヒカル」という存在の位置づけが明確になってきたので、アレンジの自由度が高くなったのだと思います。
アレンジ自体がこれまでの洋楽的イメージを押し出したものではなくなってきています。
そのアレンジを行ったのは外国人ですが(笑)。
で、この曲が秀逸なのは2コーラス目のサビ後~エンディングの部分だと思います。
突然どこにも出てこない要素がここで出てくるので、聴き手からすると意表を突かれます。
でこれを効果的にしているのがAメロとサビのコード進行が一緒、という点なんですよ。
こういう作り方をすると、「飽きやすい」という危険性が生じるからです。メロが違ってもコード進行が一緒だと、何度も聴いているとやはり「反復」というようなイメージを持たれやすいからです。
もちろんメロがしっかりしていれば、このリスクは低くなるし、この曲も上手くこなしていると思います。
ただ、この最後の部分を入れることで、ガラっと曲のイメージを変えてしまっているんですよね。
ある意味ダメ押しに近いような上手い作りです。
でこれって結構危険な手段でもあるんですよ。変に入れてしまうと曲のイメージを壊す可能性があるからです。
その部分の出来自体が良くても、こういう作り方をすると他の部分との違和感が生まれてしまうからです。
イメージを変えることと、違和感を感じさせることって紙一重なんですよ。
いわばこういう方法は「諸刃の剣」であり、そういう観点からしてもこの曲、やはり宇多田ヒカルさんの才能の高さを感じさせます。
もちろんこういった違和感を感じさせないのにはアレンジの力も大きいのですが、もちろんそれだけなく、やはり素材がいいからなんですよ。
素晴らしいとしか言いようがありませんね。
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。