アレンジの時代性⑭
で、80年代の曲です。
この辺になると色々な試みが出てくる印象です。
最初の頃はまだまだ古い印象ですよね。80年代初期のヒット曲と言えば、自分の中では「ルビーの指輪」ですが、曲自体は新しいし、色々なことをやろうとしているのは分かるんですが、多分「最先端」を行こうとしたんですよね。イントロのギターといい、その後のシンセにしても今では「あり得ない」アレンジです。この曲でベースのスラップが出てくる必要性も感じないし、あそこまでヴィブラフォンしっかり鳴らさなくてもいいでしょう。鳴らすにしても、もう少し抑え目に鳴らすのが普通にような気がします。
それが結果的に「古さ」を醸し出しています。好きな曲ではあるのですが、やはり今の曲じゃないですね。
ただ一方で、出てきたタイミングが同じ位の山下達郎さんは、割と普通に聴けちゃうんですよね。
と言ってもあまり聴いたことはありません。それほど好きなミュージックという訳ではないので...。
ただ80年代中頃の、竹内まりやさんの復帰作以降の作品、今聴いても自然に聴けますよね。
ただ、アレンジ自体は古いんですよね。
まず、Aメロの途中から、チェンバロ系の音が突然入ってきて、「ん?、何でチェンバロなの?」っと思った後、サビに行く時のストリングスの入り方とか、正に「昔の歌謡曲」を思わせるような使い方ですし、特に気になるのが2コーラス目のサビと最後のサビの間の間奏のストリングス、これは完全に「ベタな歌謡曲」としか言いようがないアレンジです。
2コーラス目のギター、特にエレクトリックギターの入れ方も思いっきり古いですよね。全体的に隙間が無く(山下達郎さんの場合、全体的に音を詰め込むきらいはありますが)、「微妙」なアレンジです。
ただ全体を聴くと聴けちゃうんですよね。この辺はMIXバランスが上手いんだと思います。後は全体的に音数が多いから、逆に突出したパートが出来にくい、という点でしょうか。
色々聴いてみたのですが、80年代の曲は、曲自体は70年代とは一線を画している作品が増えていても、やはりまだアレンジ自体は古い印象です。
そういえば最近尾崎豊さんの「卒業」が流れていたのを聴いたのですが、これも「何故このイントロなの」という感じが拭えませんでした。
後「I Love You」は確かに名曲ですが、あのサビの意味不明なギターの音は止めて欲しかったですね。
でも「I Love You」は80年代も終わりに近い、というのもあるのかもしれませんが、かなりこの時代にしては「古さ」を感じさせないアレンジだと思います。
古いアレンジだと、音数が少ない部分でも「リズム隊」はしっかり鳴らすことが多いようです。何で静かな部分でキック入るの?、みたいな感じで、リズム隊だけは頑張っているパターンが多いと思います。
その点「I Love You」は変なリズム隊の入れ方をしないから、それほど「古くない」んだと思います。
後80年代には別の変化も見られます。コーラスの入れ方です。70年代だといかにも「コーラス入れてます」みたいな使い方が多かったのに対し、ボーカルを目立たせるよう、抑制的になっているイメージです。
で、あまり触れていない90年代前半について次回は書きたいと思います。
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。