空間認識⑩

で、昨日の話の続きになります。

宇多田さん以降「日本のR&B」とでもいうべき音楽が多くなってきましたね。やはりこの頃がJ-POPにおける空間認識にとって大きな変革を生んだと考えています。

ここで言う「日本のR&B」って結構歌謡曲的な部分も引きずっていて、メロディ志向が強いんですよ。でそこにリズムが加わることによってメリハリが効いた作品が作られるようになります。

というのも宇多田さん以前の「R&B」的に位置づけられる方って、向こうの「R&B」を意識していたんですよね。ただこの頃から向こうの「R&B」を意識しない、なんとなく「R&B」っぽい曲が増えたと思うんですよ。それが自分の言うところの「日本のR&B」です。

というより、昔ながらのJ-POPにR&Bっぽいリズムを充てただけ、という見方も出来るかもしれません。

ただここで「空間認識」は一歩進むんですよ。

というのも、昨日の話とも被りますが、ここでリズムとメロの両方を立たせる必要が生じたからです。

例えば小室さんより前はメロだけ立たせておけば良かったし、小室さんはむしろダンスミュージック志向が強かったために、リズムを立たせることを優先していれば良かった訳です。

ただ、メロとリズムを同時に立たせようとすると、両方が明確に聴こえるような作りにしなければならなくなります。

で、その時にどうするのが一番いいか、というと、洋楽っぽいサウンドにすればいい訳です。

洋楽であれば、この2つを普通に共存させていますから、方法としては一番オーソドックスでしょう。

でそこで重要になっていくのが、「楽器の配置を明確化すること」です。

どこでどの楽器が鳴っているかが明確になっていれば、色々な楽器の音が立つようになります。

当たり前のことのように思えますが、もちろん例外はあるものの、昔の日本の音楽にはあまりない要素だったと考えています。

やはり昔の歌謡曲のように編成の数が多いと、どうしても楽器間の距離は小さくなり、楽器の音は立たなくなります。

で、それを一番簡単に行う方法が音数を削り、音楽をすっきりさせることです。

そうするとどこでどの楽器が鳴っているかが明確になりますから。

それが正に「空間認識」と自分が考えているものです。

明日からは少し趣向を変えて、実際の曲を参考にこの「空間認識」ということを考えていきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

blue but green
ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。