空間認識㉑

で今日はこの曲です。

この頃になると、やっと一定の「空間認識」が出来てきたようなイメージです。

PANの振り方も明確な上に、リバーブのかけ方にもメリハリがついてきた印象です。

これはピアノはほぼ中央ですね。バスフルートとチェロのバランスを取った結果です。

何故バスフルートかというと、普通のフルートでは出せない低音を使いたかったからです。

まあ実際はフルートの音なので、音に違いはありませんが(笑)。

ただイントロでは主題を提示したかったので、この部分だけはフルートとバスフルートの2本を使用しています。

でチェロがここでは入らないので、バランスが左にかたよっています。

Aメロの1回目もチェロが抜けるため、ここも左にバランスがよってしまっていますが、これは我慢のしどころなんですよ。

もちろんこの部分は主旋律と同じ旋律を奏でているので、それなりには安定しています。

実は音楽は「緊張」と「弛緩」で出来ているので、こういう部分があっても構わないんですよ。緊張しっぱなしだと疲れるので、Aメロの2回目からチェロを途中から入れることにより弛緩させています。

で、ここでバランスが取れた状態になる訳です。

で2コーラス目のボーカル抜きの部分をバスフルートで同じ旋律を吹かせています。

ここが結構冒険なんですよ。主旋律はやはり中央から鳴った方が安心して聴けます。そこを左から鳴らしてしかも対旋律無し、というのは結構危険な選択ですから。

ただこうすることによって、ボーカルとチェロが入ってきた時に弛緩するので、落ち着くんですよね。

ただここで効いてくるのはリバーブの使い方なんですよ。この曲からリバーブの使い方が以前と比べるとかなり変化しています。

以前と比べるとパート毎のリバーブのsendにかなり変化を付けるようになりました。

これまでだとやはりどのパートにももちろん程度の差こそあれ、それなりにリバーブがかかっている状態になっていたと思います。

やはり一定程度はリバーブを効かせないと不安になってしまうんですよね。この感覚がこの曲以降無くなりました。

もちろんsendを0にすることはありません。というのもsendを0にすると「同じ場で各パートが演奏している」という感じには聴こえなくなるからです。リバーブは各パートを繋ぐ、という役割を果たしているからです。

パート毎にリバーブは使い分けた方がいい、という方もいらっしゃいますが、これは日本人的な発想で、「空間認識」という概念がないから出てくる発想です。

一つの空間で楽器が鳴っていれば、ある程度音の拡がり方には共通性があるはずです。それを無視すると、「空間認識」の低い曲になります。

リバーブをかけないパート、というのはさすがにありませんが、この曲以降はリバーブのかけ方のメリハリがはっきりしてきていると思います。

だからパート間のバランスが決していい作品とは言えませんが、「不自然さ」がない曲に仕上がっていると思います。

「空間認識」という観点からすれば、少し先にいけたような、そういう位置づけの作品です。





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blue but green
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