曲と歌詞⑮

今日は少し時間を遡る感じになるのでしょうが、昨日は急に2年間ほど時間が飛ぶ話だったので、今度は急に3年飛ぶ歌詞を取り上げます。

竹内まりやさんの「象牙海岸」です。

あまりメジャーな曲ではありませんが、知っている方は知っている、そんな曲で、当然シングルではありませんが、ベスト盤には入っているような曲です。

アレンジはやはり思いっきり古いので、ライブ版の方を聴く方いいかもしれませんが(笑)。もちろん曲自体は林哲司さんの代表作と言ってもいい位の作品だと思います。

ただやはりこの歌詞、いいんですよね。決して唐突さは感じさせず、むしろ時間の差異を効果的に使っている印象ですね。

最初は昔の恋愛の回想で始まり、そのまま終わるように見せながら、最後で3年後、その相手から突然電話がかかってくるんですよね。

でももう既に主人公にとっては「終わったこと」なんですよね。もう失ってしまったものであり、もう戻ることの出来ない、大切だった時間、という位置づけになっています、

単に過去の恋愛を思うだけではなく、この部分が最後に来るからこそ、歌詞にある種の無常観とでもいったような「深み」を与えているんですよね。

ちなみに竹内まりやさんの作品で松本隆さんと言えば、やはり「September」でしょうね。これも独特な構成の曲(いわゆる「Bメロ」がない曲)ですが、比喩が多く盛り込まれていて、上手い作品ですね。

ただやはり松本隆らしさが出ているのが「トリコロールの海辺の服も 二度と着ることはない」という部分ですね。

「トリコロールの海辺の服」ってどんな服かさっぱり分からないですよね。でもそれでいいんだと思います。

歌詞って素直に書けばいいものじゃなくて、やはり「ひっかかる」部分があった方が、聴き手の想像力を膨らませるんですよね。

その辺も含めて上手い歌詞だと思います。

で、明日は時制とかそんなことは吹っ飛ばして、ある意味松本隆さんの究極の作品、とでもいうべき作品を書いてみたいと思います。

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