DTM55

で、一応トラックのトリートメントが終わったとします。

この後の作業がミキシングですよね。

この辺ははっきり言って「正解」はないんだと思います。

基本相対的なものであり、やはり人によって「感じ方」は違うものですから、正解のないのは当たり前のことです。

ただ、これは「ベスト」が何か、ということであり、良し悪しということは確実にあると思います。

また、エフェクトの話に戻ってしまいますが、例えばリバーブの掛け方もミキシングの重要な要素になります。

これも当たり前と言えば当たり前ですが、どのトラックにどれだけリバーブを掛けるか、ということはミキシングに直接影響を与えるからです。

リバーブのsendを多くすれば、当然そのトラック自体の音量はフェーダーの位置が変わらなくても、必然的に変わります。

当然そうなるとミキシングにも直接影響が出てくるので、エフェクト自体がミキシングに影響を与えることになります。

後、ミキシングって音量のバランスを調整することだ、と考えている方も多いようですが、これも間違いです。

確かに音量のバランスは大切ですし、ここを間違うと、どんな名曲もとんでもない作品になってしまうのは確かです。

ただ、それだけではありません。

例えば、トラック自体にはその音をどこに置くか、という概念はありません。それをどこに置くかを決めるのもミキシングの作業の一環です。

結構これも重要な作業です。音量のバランスが違うだけではただ単に「どの音が大きくてどの音が小さいか、という概念しか持ちません。

そこに「空間認識」といった概念はないんですよ。

当然音楽は空間の中で奏でられるものですから、音が空間を持っていることって大切なことなんですよ。

で、ざっくり言うと、各トラックの奥行を決めるのがリバーブ、左右を決めるのがPAN設定です。

特にPAN設定というのが実はかなり重要だと考えています。

最近音楽ってスピーカーで聴くものでは無くなってきていますよね。スピーカであれば、人によってはそれほど気にならない左右のバランスが、ヘッドフォンだともろに明確になるんですよ。

スピーカーであれば、人間との間に距離があるので、左右から鳴っている音は両耳に入ってきますが、ヘッドフォンだと、直接左右から別々の音が聴こえることになるので、聴こえ方自体が変わってきて、PAN設定の影響が大きくなります。

自分の場合、かなり極端なPAN設定にするトラックを敢えて決めています。というのも、他の楽器もある訳で、その楽器は一番左右にある楽器の範囲内にしか置けません。

なので空間を広めに取るためには、PAN設定はあえて大袈裟にした方が楽器が並べやすいんですよ。

もちろんミキシングはこれだけではありません。ただ今まで書いてきたことが出来ていれば、ほぼほぼ大きな間違いはないはずです。

よくEQでの調整について「周波数帯が被るのを防ぐために必要」と言う人がいますが、これは完全に誤りです。何故被ってお互いの音が干渉してしまうかというと、楽器毎の空間認識が出来ていないからです。

例えばクラシックやジャズで周波数帯の調整なんてしませんからね。でもそれで音がおかしい、っていう人はいないですよね。

空間認識が出来ないままパートをただ並べているから、しかもやたらめったら隙間なく並べるから起きる現象と言っていいでしょう。

これって日本だと多いミックスなんですが(笑)。

で、周波数帯は被ってもいいんですよ。複数の楽器を演奏する時に聴こえにくい音が生じるのは特段不思議なことではありません。「聴かせたい音」がきちんと聴かせられれば、他の音についてそれほど気にする必要はありません。

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