古い音・古くない音⑮
昨日は日本の80年代の曲について取り上げましたが、この辺を少し深掘りしていきたいと思います。
80年代って基本的に今の音が固まった時代だと考えています。
というのも、この時期にシンセサイザーの音が固まったからです。
これ以前のシンセサイザーはシンセサイザーとして使うものであって、シンセサイザーの音を使うためにシンセサイザーを使うのが普通だったと思います。
ただ80年代から、世界的にシンセサイザーの使い方が変わってくるんですよね。
普通に普通の楽器として使うようになってきています。
もちろんシンセサイザーを「楽器」として扱っていいのか、という議論もあるとは思いますが、一旦ここでは「楽器」として話を進めていきます。
もちろん、当時のシンセサイザーならではの音をふんだんに使った「いかにも」的な作品も多いのですが、それでもそれほど今の音と比べて大きな違和感を感じないと思います。
シンセサイザーの音の基本性がこの辺で定まったからです。
今使うようなシンセ音も、サンプリング音源もこの頃から一般化していますから。
で、楽器の音が固まってくると、使い方も次第に固まっていくんですよ。
今の音楽でもポピュラーにとって、シンセサイザーは欠かせない楽器です。その音が固まる前と後で音が変わるのはある意味「必然」と言える現象であり、だからこそ80年代以降の音は、音楽自体はともかく「音」としては古くなりにくいのだろうと考えています。
洋楽でも80年代ってやたらとシンセを使っていた印象があります。もちろん90年代になると音楽がリズム重視になり、音楽自体も変わっていくのですが、やはり音自体はある程度既に決まってる範囲の中で収まっているので、それほど変化している印象がないのかもしれません。
これはシンセが定着し、かつ大きな役割を持つことによって起きた現象かと。