楽器の配置⑤
ドラム以上に不自然だと感じてる楽器があります。
ピアノです。
生のピアノはもちろん違いますが、DAW用の音源、大抵は右の音が一番高く、左に行くに従って音が低くなるように作られているんですよ。
自分がピアノを弾いている以外、このように聴こえることはありえません。
ということはこのピアニスト、聴き手に背を向けて弾いているんですよ。
まずあり得ない現象です。
特にグランドピアノの場合、形状から言っても、まずそのようなセッティングをすることはあり得ません。
弦を張っている部分が前に突き出しているので、他の演奏者からの距離が空きすぎるんですよ(笑)。
なので、逆に聴こえるようにした音源もありますが、それもあまりない配置になります。
ピアニストって前向いて弾いてますか...。
そういう例もありますが、大抵の場合、ピアノが1台であれば、聴き手側からすると、右を向いて弾いているケースが一番多いと思います。
つまりピアノの近くにいる方にとっては、高い音が近くから聴こえ、低い音が遠くから聴こえる、というのが自然だ、ということです。
実際には聴く場合はほとんど変わらないでしょう。近くで鳴っていれば、遠近の度合いがはっきりしますが、遠くなればなるほどその差は曖昧になります。そんな近くで聴く方はほとんどいないでしょうから。
でもこれも「慣れ」の問題なんですよね。実際にどう聴こえるかよりも、実際に音源化されている音を自然に思ってしまう、そんなものです。
自分だって聴いていて、不自然さを感じるかと言えば、やはり何となく聴いてしまっているし、DAWでの作品制作時にもmono化して鳴らす、なんてことはしませんからね。
ピアノってその音の特徴を活かすために、センターで鳴らすことが多いですが、その辺は曲によって変えています。
「ピアノはセンター」って勝手に思い違いをしている方も多いのですが、これは全く違った話で、ああいう音源だからセンターに持ってきた方が綺麗に聴こえる、ただそれだけの話です。
挙句の果てに生ピアノを録る時すら、そういう風に聴こえるように録ることも多いという現象まで起きていますから...。
慣れというのはやはり怖いものです。
元々オーケストラの編成にピアノは含まれていないので、決まっていないし、どこでもいいんです。一般的には聴き手から見てやや左寄りに配置する場合が多いのですが、各パートのバランスによって自由に配置を変えていい楽器かと思います。
ああ、やっと楽器の配置の話らしいことを書いたような気がします(笑)。