ミュージシャン④宇多田ヒカル~番外編「歌の上手い人」
なんだかんだ言ってまたこちらに戻ってしまいました(汗)。
関ジャムで「宇多田ヒカルさんは歌が上手い」と言われていました。
自分もそう思います。
じゃあなんでこんなこと書くのか、と言われますよね(笑)。
もちろん理由はあります。
「歌が上手い人」と言われた時に宇多田ヒカルさんが出てくることは少ないです。
藝大生は選ぶらしいけど(笑)。
前に書いた記事にも関係してくるのですが、宇多田ヒカルさんの声はいわゆる「綺麗な声」ではないんですよ。
極端な言い方をするとガラガラ声に近いとも言えます。
「綺麗な声」と一般的にいう声、整数次倍音を多く含む声です。
音の高さは周波数で決定しますが、その周波数の音だけでは無味乾燥な音にしか聴こえません。正弦波と呼ばれる音で昔のシンセで聴けますが、一般的に聴くことが出来る音で例えるなら、聴力検査のあの音に近い。
まさかこんな声が「綺麗な声」である訳はありません。自然界には存在しない音ですし、そもそも発声できる人はいません。
もしそれが出来たらどの人も同じ声になります(笑)。
で、そこに様々な音程の音が混じることによって自然界の音は形成されています。
で、そこにどんな音が混じるかによって音の質は決定されます。
もちろん楽器についても同様です。楽器の音もどのような倍音が含まれているかによって決まります。
先ほど、いわゆる「綺麗な声」とされる声は整数次倍音を多く含む声、という書き方をしました。
何故「多く含む」という言い方をすると、どんな音でも非整数次倍音は含んでいるからです。
ちなみに整数次倍音とは、基音の周波数の整数倍の周波数の音です。周波数が倍になるとオクターブ高い音になるので、オクターブ高い音を並べていくと、基音に2のn乗を乗した音として定義付けられます。
なので整数次倍音と言っても、音程は一緒ではないです。
もちろんこの整数次倍音の含まれ方も声の質に大きな影響を与えることは間違いありません。
ただ、非整数次倍音も当然声の中に含まれていて、この音も声質に大きな影響を与えています。
というよりいわゆる「個性的な声」の持ち主は非整数次倍音が豊かなことが多いです。
ただこういう声は「個性的」であるが故に「模範例」にはなりにくい。
だから宇多田ヒカルさんは歌が上手いのに、「歌が上手い人」を選んだ時、その中には入ってこない、ということになります。
まあそれ以上にミュージシャンとしての総合力が卓越しているからだ、と言ってしまえばそれまでですね。
今日は何のために記事を書いていたんだろう…。
懲りたので、明日からは通常の記事に戻ります(汗)。