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妹に似たまま生きてきたんだと知るパスポート写真の青さ

私はまあまあな大人だけど、今年、生まれて初めて海外に行くことが決まり、パスポート用の証明写真を撮りに行った。

「輪郭がしっかり見えるように、メガネを外して、顔にかかっている髪の毛を耳にかけてください」


私は視力が0.1しかないので基本的にはずっとメガネをかけている。さらに、私はなかなかの人見知りであり、黒縁メガネと両サイドの髪の毛の陰に常に隠れることで人と関わる緊張を紛らわしている節がある。だからメガネも髪の毛も、顔を守るものが何もない状態の自分になるのはそれなりに気が引けた。ただ、私はまあまあな大人なので

(ちょっと嫌だけど本人確認のための書類だし仕方ないよね。入国審査?の人も間違いなく私かどうか確認しなきゃだしね・・・)


と思って写真屋さんの言うとおりにした。



5分後。出来上がった写真を見て驚いた。2つ下の妹にそっくりだ。裸眼で社交的で顔サイドの髪に隠れなくてもバリバリ人と喋り、バリバリ生きる妹。私とは真逆の存在だ。小さい頃は見た目で間違えられることもあったけど、大人になった今でも似ているなんて全く意識していなかった。


改めて写真をよく見ると、顔のパーツだけでなく顔全体の力の入り方がめちゃくちゃ妹っぽい。普段大げさに開けたり細めたりしてる目をちょうど真ん中くらいにしようとして少し閉じ気味になり、ちょっと無気力な感じに見える。まっすぐにしようとした口元は左端が自然と少し上がってしまい、逆に右端はへにょっと下がって帳尻を合わせにかかっている。いつもは割とひょうきんな人が仕方なしに「無」の顔を作って上手くいってないこの感じ。私には完全に覚えがある。「妹の顔でよく見るやつ」だ。


私が私であることをはっきりさせようとしたのに、かえって妹に似てしまったらしい。

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