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大学生が考えるソーシャルデザイン#1 ①社会全体で子どもを育てる仕組みづくり/②パーソナル屋台から見る「パブリック」

この記事では、ブルーブラックカンパニーの学生スタッフがラジオ番組「おしゃべりラボ ~しあわせSocial Design〜」の過去の放送を大学生の視点から振り返り、ソーシャルデザインへの多様なアプローチ方法について考察しています!

社会全体で子どもを育てる仕組みづくり 平岩国泰さん(放課後NPOアフタースクール代表理事)

放課後NPOアフタースクールとは

 「子どもたちの放課後を黄金の時間に」をテーマに、小学校を活用し、一芸に秀でた専門性を持った地域の大人「市民先生」を中心に多彩なプログラムを展開することで、子どもの放課後を安全で豊かにする活動です。
 平岩さんは、放課後の子ども連れ去り事件が多発していた時期に、子どもの放課後を安心安全で、かつ学びのあるものにしてほしいという思いがきっかけで、社会全体で子どもを育てる仕組みづくりを目指して活動しています。学校の協力を仰ぐことの難しさなど、様々な壁を乗り越えて、この活動を世の仕組みにするために進めています。

学校の授業だけでは学べないこと

 プログラムに関するエピソードの中で、子どもたちが、市民先生である町の大工さんと協力し、一年を通して家を建てるというプログラムがありました。みんなで考えた家の構想を図面におこしてもらったあと、材木を地域の店に買い出しに行くところから市民先生と協力して遂行すると仰っていました。
 このように、学校や習い事に通っているだけでは経験できない貴重なプログラムが充実しています。これは、子どもの文化体験における格差を縮める効果が期待できるものだと考えられます。経済的余裕がある家庭は、子どもに様々な習い事をさせてあげる余裕がありますが、余裕のない家庭はそれができません。この活動によって、もちろん前者にも習い事以外の様々な体験をしてもらいたいですが、特に後者に様々な文化体験をしてほしいと思いました。

社会全体で子どもを育てる仕組みづくり

 私は、市民先生という地域の大人に着目することで「社会全体で子どもを育てる」という活動目的にとても共感し、もっとたくさんの地域で実現していってほしいと思います。
 核家族化・共働き家庭が増え、放課後を一人で過ごさなければならない幼い子どもが増えているこの世の中で、親以外の大人が子どもを見守っていくことの重要性を感じています。子どもとしては様々な大人と関わることができて社会経験をつむことができますし、親としては身近に助けを求めることができる存在をつくることができて、とても心強いでしょう。親にも子どもにも、両者にメリットがあるものだと思います。

学校を”施設として”活用する

 「学校を施設として活用する」という視点が面白いと思いました。
 運動がしたかったら体育館やグラウンド、料理がしたかったら調理室、工作がしたかったら図工室…というように、学校の施設を改めて捉え直してみるとホームルーム以外に色々な部屋があることに気が付きました。新しい施設を作るのではなく、既存の施設を有効活用する姿勢が、持続可能性も考慮されていてとても良いと思います。ただ、学校を利用するということで、多数の人や団体から許可取りが必要である等、様々な壁があると仰っていて、これからも課題にぶつかりつつも、多くの学校と連携していってほしいです。

まとめ

 この活動は、現代と、これからの社会を見据え、子どもの生活を安心安全で価値あるものにするためのものであると考えます。学校に協力してもらうというのは私たちの想像以上に難しいことだろうと思いますが、少しずつ理解を広め、世の仕組みになっていけばいいなと思っています。 (執筆:S)

パーソナル屋台から見る「パブリック」 田中元子さん(株式会社グランドレベル)

建築コミュニケーターとは?

 建築士や建築デザイナーという言葉は聞き馴染みがありますが、田中さんの肩書きである「建築コミュニケーター」という言葉には初めて出会いました。もともとは、建築に関する執筆業を通して建築やまちの魅力を発信していた田中さんですが、執筆に限らず、多様な方法で発信をしようと思ったことで「コミュニケーター」と名乗るようになったそうです。

 私は現在就職活動真っ只中ですが、「夢=職業」というイメージに囚われず、自ら新しい道を切り開いていく田中さんの姿を知り、自分の将来について今一度問い直すことができた気がします!

パーソナル屋台の出店

 田中さんは、趣味を通じたまちづくりとして「パーソナル屋台」の出店をしています。パーソナル屋台とは、個人が趣味として出店する屋台を指しており、仕事としてのお金稼ぎではなく、あくまでも趣味である点が特徴的です。となると、原資はどうするのか?と私も最初に考えましたが、田中さん曰く趣味のための出費であれば惜しまず使う人も多いのではないかとのことでした。確かに、営利目的ではない方が気軽に始められるのではないかと感じました!

誰でもできるまちづくりとは?

 田中さんはパーソナル屋台としてコーヒーの提供を行っています。あえて自分からは呼び込みをせず、“Free Coffee” の看板のみを掲示しています。その結果、お客さんから「何しているんですか?」と話しかけられることで、コーヒーの提供だけでなく、自然と会話が生まれるそうです。また、同じコーヒーを飲んでいる人同士が会話を始める場面も見られ、田中さんは、これこそが自ら創るパブリック「マイパブリック」であると言います。

 「パブリック」、すなわち「公共」は、通常「公共団体」や「公共施設」のように国や自治体が主体であるイメージが強くありますが、本来は「誰に対しても開かれている」という意味であり、これを個人を主体として実践された例が田中さんのパーソナル屋台であると思います。個人的な活動を通して誰にでも開かれた場づくりをすることは、「誰でもできるまちづくり」と言えるでしょう!

 個人的には、知り合い程度の人よりも初対面の人とお話する方が話しやすかったり、楽しいと感じるため、コーヒーという物を媒介にした新たな関係性の生成はとても興味深かったです。また、コーヒーは匂いがするので、より人の興味を引き付けやすいのではないかと思いました!
 皆さんはどんなパーソナル屋台を出店してみたいですか?私はものづくりが好きなので、みんなで編み物ができる屋台があればいいな…なんて思ってます!

自分の目線から考えるまちづくり

 田中さんはまちづくりに対して立体的な視点で見るのではなく、自分の目線から見ていくものであると考え、株式会社グランドレベルを創業されています。株式会社グランドレベルでは「1階づくりはまちづくり」をモットーにしており、まちを自分のもののように考えて地面から始まるまちづくりを目指しています。今後は、タワーマンションの1階をオープンスペースとして開放し、人があふれる場づくりを展開していきたいとのことです。

 確かに、最近の住宅やオフィスは安全性を重視した結果、閉鎖的になりすぎているように感じます。安全性ももちろん大切ですが、地域住民同士の交流の場も共存させていきたいですね!田中さんの今後の活動にも期待が高まります! (執筆:Y)


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