#99 ガンバ大阪2020ベストゴール大賞番外編!何個か語りたかった2020年のガンバの3つのナイスディフェンスについてnoteで語るの柳沢玉田巻。
そのブログを更新したのは2020年12月31日。
独断と偏見で2020年のガンバ大阪のベストゴールを決めようというブログに於いて、せっかくなのでベストディフェンスとベストセーブ(東口順昭大賞)も決めてみたんです。
そこのディフェンス部門で書いた文の一部が以下になります。
ナイスディフェンス部門の2位と3位はnoteで更に掘り下げた事を書きたいと思っているのでそこで。
だいぶ放置してしまいました。
やっぱ書くのやーめた、とかそういうのじゃないんです。書こう、書こうとは思ってたんです。しかし完全に明日やろうはバカやろう状態に陥りました。プロポーズ大作戦見てたのに。遠藤保仁大先生のサッカーダイジェストの連載も読んでたのに。
いくらなんでも2021年シーズン開幕前までには書く必要がある、その一新で慌てて今、iPhoneから高速フリック入力をしております。
特にこれといって細かく企画概要を説明する事はありませんが、まぁざっくり言えば独断と偏見でピックアップした「2020年のガンバ大阪の3つのナイスディフェンス」について一つずつ語っていこう、そういうnoteでございます。お付き合いください。
①【ナイスディフェンス部門第2位】J1第20節 ガンバ大阪vs鹿島アントラーズに於ける51分の東口順昭のセーブ
(該当シーンは1:44から)
DAZN週間スーパーセーブに於いて、J1第20節の「SAVE OF THE WEEK」にも選ばれた東口のセーブ。0-0という緊迫した状況の中、抜け出した鹿島のMFファン・アラーノとの1対1を見事に制した…というシーン。この試合は現地で見ていて、しかも席がアウェイ寄りメインスタンドだったんで、この場面はド正面で見ていました。試合後から色んなベストセーブ集的な企画ですごく取り上げられたこのシーンですが、個人的にこのシーンはナイスセーブというよりはナイスディフェンスという感じで、GKというより一人の守備者としての東口のディフェンス能力が詰まったシーンだと思っています。
攻撃側だろうが守備側だろうが、1対1…デュエル的な場面になった時にもっとも大事なのは、技術は勿論ですが「如何に自分の間合いでプレーできるか」という事、もっと言えば「相手に対して如何にマウントを取れるか」という部分になります。例えば自分が攻撃側でボールを持っていた時にデュエルが発生したとして、ドリブルで抜く選択肢の他にガラガラのシュートコースが空いていたり、横からフリーの味方が走ってきたりしていれば、FWの選択肢は一気に3つに増える。守備側にとって一番困るのは攻撃側の選択肢が多い事なんです。
どこをケアしていいかわからないとなると、行き着く際は「一つに集中した結果他がガラガラになる」か「全部中途半端になる」の二択。逆に攻撃側は「お?どれで攻めたってもええねんぞ?お?」的な状態になり、文字通りマウントが取れているのです。
ではこのシーンだとどうでしょう。
一見、マウントを取っているのは明らかにアラーノに見えますが、実はこの時点でデュエルという意味で優位に立っていたのは東口でした。アラーノとの距離やアラーノの状況などを加味した距離感を東口が取れており、無闇に飛び出さず、敢えて「アラーノを待つ」ような形にした事で、アラーノに対して完全に東口の間合いで勝負する事が出来ているのです。
この場面では東口よりもアラーノ側の視点で見た方が説明しやすいのですが、一見アラーノの勝ち確定に見えるほどのドフリーですが、東口が絶妙なポジションにいるせいで絶対に止めようがないシュートコースがありません。東口とアラーノの角度的に、この時点でファーサイド(左側のゴール)を塞いでいるので、まずアラーノはニアサイド(右側のゴール)にしかシュートを打てない。かといってこれ以上時間をかければ、追いつきつつあるDFに捕まってしまう…一応スクショ画面では切れているところに鹿島の味方選手が走り込んではいるのですが、余裕を持った状態でそこにパスを通す事ももう出来ないし、東口を抜きにかかるにもスピードとスペースがもうありません。東口からすればこの時点でニアにシュートが来るのはわかっているでしょうから他のセーブと比べると難易度は随分低かったと思いますし、そういう状況に持ち込んだのは他でもない東口本人です。ある意味あのセーブは余興みたいなもので、一連の場面の勝敗はシュートよりも前の段階で付いていました。
また、アラーノがDFを振り切った瞬間にも分岐点がありました。
このような状況になった時、GKが出来る事といえばこの時の東口がやったように「一度戻って間合いを調節する」か、或いは「そのまま前に出てアラーノをブロックする」事です。ただ、それこそ後者を選べば、アラーノもスピードとスペースがある状況でアラーノ自身がボールをコントロール出来ているので抜き去られる可能性がある。そこで東口は一旦仕切り直した方が得策と考えたんでしょう。ベストセーブというよりは、東口の「待つ決断」をした状況判断や守備者としての間合いを完璧に生み出したディフェンス技術の高さが結集されたシーンで、GK技術の教科書を作るなら絶対に載せるべきシーンだったと言えます。
②【ナイスディフェンス部門第3位】J1第33節 横浜FCvsガンバ大阪、前半1分の先制点に繋がるまでの一連の流れ
2020年のガンバは開幕当初、「ハイプレス戦術」を標榜していました。例えば開幕戦、マリノスから奪ったゴールもその一種。このゴールも実に守備での連動性が光っています。
横浜FCはバックラインから結構繋いでくる事もあって、まずパトリックと渡邉千真のところから積極的にプレスがかかっていました。
ちょっとこれが誰だっかまでは覚えていませんが、この時点でボールを持つ横浜FCの選手に残されたパスコースはペナルティエリア付近にいる味方のみ。しかもここに出したところでガンバのプレスに遭うのは明白ですし、この時点で選択肢を相当削れています。
それでここから出たパスを倉田がカットし、ショートカウンターでのゴールに結びつくのですが、安全なパスを出せる位置は完全にガンバの選手が抑えていますし、残るはセンターサークル付近の選手だけ。ここに通すのがそもそもリスクの高いパスであるどころか、ガンバの選手だって既に準備が出来ている状態です。デモ横浜FCはもうここにパスを出すしかない。そういう状況に追い込むことが出来たのは前線からのチームとしての守備意識がしっかり統一されていた賜物です。
③【ナイスディフェンス部門第5位】第25節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌、88分の決定機で東口順昭がセーブした後のパトリックの対応
この動画でいうところの4:46〜のシーンになります。
まず最初に東口のファインセーブが一つあったんですが、こぼれ球をキム・ミンテがシュートに持ち込み、それがポストに直撃するのです。その場面がこんな感じ。
まあ大ピンチですよ。目の前にいる宮澤裕樹は体勢こそ悪いですが、他の札幌の選手にしても触って押し込めばゴールです。逆にガンバの選手は無理にボールを追って変な触り方をすればかえってオウンゴールにもなりかねない。そんな状況でパトリックの身体能力が活きました。
このグンと伸びる右脚。
クリアする前のあの状況から触るのみならず、クリアとしてしっかりヒットさせたのはパトリックのストライドがあってこそでしょう。
付け加えていうと、パトリックはFWの中でもかなり守備意識が高い選手として知られています。それは単にサボらず一生懸命やってくれる…というだけでなく、パトリック自身に守備のセンスが備わっているのがポイントです。去年こんな記事が出ていました。
記事内で昌子源はパトリックの守備についてこうコメントしています。
「(対戦)相手の時から嫌なイメージはあった。FWの選手って、守備のはめ方がうまい人、そうじゃない人がいる。ガンバのFWの中では一番(守備が)わかっている選手じゃないかなと思う」
空間把握能力というか、FWでは「ストライカーの嗅覚」みたいな言葉はよく使いますが、考えようによっては空いたスペースを見つける能力は守備にも応用する事ができます。それを理解した上できっちりと実行に移す、居てほしいところにいてくれる、上で挙げた横浜FC戦でのゴールでもパトリックがそういうプレーを見せていますが、パトリックの効能と貢献はこういう部分にも表れている事を今一度再確認しておきたいところです。
今のガンバのDF戦力値はドリームチームと言ってもいいぐらいです。ロシアW杯レギュラーの昌子源、アジアカップ2019日本代表の三浦弦太に韓国代表主将のキム・ヨングォン…藤春廣輝もA代表経験者であり、東口順昭はもはや言わずもがな。菅沼駿哉も普通にこの辺りの面子とポジションを争える実力者で成長著しい髙尾瑠や福田湧矢といます。
今年も当面、チャントや応援歌は禁止される見込みですので、逆を言えばDFの指示がスタジアムで聞けたり、テレビの集音マイクに拾われる事も多々あるでしょう。なので少し目線を変えて、守備を注視して試合を見てみるのも、また違った面白さがあるのではないでしょうか。
さあ、開幕戦まで後1週間!
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