SOLITUDE DARKNESS FANTASY 54
パトルは足を止め、背後に佇む廃墟を再び見つめた。魔法の本の不思議な光景が脳裏に焼きついて離れない。気になった彼は引き返すことにした。あの本が持つ謎を解き明かすために、もう一度廃墟の奥へと歩みを進めた。
階段を下り、再び地下の部屋にたどり着くと、やはりその場所には浮かぶようにして本が存在していた。先ほどとは異なり、今度はかすかに微光を放ちながら静かに漂っている。本をじっと見つめながら、パトルは慎重にその表面に手を伸ばした。指先が触れた瞬間、再び激しい光が放たれたが、今度は彼の意識がはっきりしていた。
「今度こそ、何かを掴めるかもしれない……」
パトルは覚悟を決め、本を手に取った。すると、ページが勝手に開き、古代の言葉が浮かび上がってきた。彼は読めないはずのその言語が、なぜか自然に理解できるような感覚を覚えた。文章の内容はこうだった。
「かつて、この地には強大な魔法が封印されていた。それを解く鍵は、四つの遺跡に隠されし『オーラの結晶』である。」
その言葉が意味するところに思いを巡らせていると、本から黒い霧のようなものが湧き上がり、彼の手を伝って身体の中に入り込んできた。瞬間、パトルの視界が歪んだ。再び幻影が彼を包み込み、今度は四つの異なる場所が次々と映し出された。それは、山の頂、湖の底、砂漠の神殿、そして廃墟の地下深くにあるように見えた。
「これが……結晶の在り処か?」
視界が元に戻ると、パトルは息を切らしていた。本はすでにその光を失い、ただの古びた書物へと戻っていた。しかし、その短い間に得た情報は十分だった。彼は四つの遺跡を探し出し、結晶を手に入れる決意を固めた。
だが、本を閉じた瞬間、廃墟全体が微かに揺れた。天井の一部が崩れ、砂ぼこりが舞い上がった。