フィンランド行ったことないけど
皆さんはマヤホテルをご存じだろうか。
廃墟の女王?それは神戸の摩耶観光ホテルだ。
ここで取り上げるのは、
京都にある、いや、京都にあった、MAJA HOTEL KYOTOのことである。
MAJA HOTEL KYOTO(以下、マヤホテルと呼ぶ)は、2019年の11月末か12月ごろ、すなわちコロナ直前に京都にオープンした北欧フィンランドがテーマのカプセルホテルである。
入口こそ花手水が施され京都らしさを醸しているが、一歩中に入るとそこはフィンランドである。フィンランド行ったことないけど。
オープン前から「フィンランド伝説カフェ併設のホテル」と大々的に宣伝されており、「えっ、これがカプセルホテル?」という、やや高めの宿泊料金でスタートした。
ゆえに一度は泊まってみたいが料金が、、、と躊躇しつつ、当初はカフェだけを利用していた。フィンランドに本店を置くカフェアアルトの2号店が、この京都だったのだ。
サーモンスープにオープンサンド。チョコレートケーキ。シナモンロール。ブルーベリーパイ。
いずれもとてもおいしくいただいて、フィンランドの気分に浸っていた。フィンランド行ったことないけど。
やがてほどなくコロナ禍へ。故郷大阪をはじめ、わたしが住む兵庫もマヤホテルのある京都も緊急事態宣言が敷かれ、旅行や宿泊という選択肢すら消失していた期間。
しかし波と波の間には、GO TOトラベルとかで格安で泊まることのできる期間があったのだ。そこで初めての宿泊が叶った。おそらく2020年は2回ぐらい泊まったのではなかろうか。
室内は木のぬくもりにあふれ、フィンランドの森林をを思わせた。フィンランド行ったことないけど。
カプセルホテルなので客室はシンプル。寝るだけである。
併設のカフェのほかに、共有のラウンジがあって、そこで簡単な調理などができたし、そこもまた、木のぬくもりを感じて居心地が良かった。
2021年も2022年も年に数回、宿泊利用していた。
併設カフェでの朝食や夕食付きのプランはもちろん、
京都老舗料亭の仕出しをそのラウンジでいただけるプランもあった。
カフェの食事(フィンランド料理)はもちろんのこと、その料亭の仕出しが本当に美味しかった。
こんな機会でないと京都の一流料亭の料理なんて食べられなかっただろう。
盛り付けも味も、技術と伝統を感じた。
最後に出される日本茶がそのホテルの湯飲みなのでムーミン柄なのが印象的だった。京都とフィンランドのコラボだと感じた。フィンランド行ったことないけど。
本年2023年は、夏から秋にかけて3か月連続で、ライブで京都に行くことがあったので、その都度マヤホテルへ泊り、京都を楽しんでいた。
実はコロナ前のような高額の宿泊料金には遂に戻らなかったのである。
ライブがあってもなくてもわたしは京都が好きで、マヤホテルで過ごす時間も好きだったから、
また週末に泊まりに行きたいなと思ってホームページを見てみても、先の予約が取れなくなっていた。
そして先日ホームページを覗いたところ、なんとひっそり閉店していた。
マヤホテル。あれはいったい何だったのだろう。幻だったのか。
なんとかクラウドファンディングなどで残ろうとできなかったのか。
大好きだった居場所がなくなったことに、ただ悲しみを噛みしめている。
そもそもわたしはカプセルホテルが好きで、マヤホテルができる前は、
京都のナインアワーズを愛用していた。
ナインアワーズは木のぬくもりを感じるマヤホテルとは対極で、宇宙船を思わせる近未来空間だった。
そのナインアワーズもコロナ中にひっそり閉店。ただしナインアワーズは京都と大阪は閉店したものの、東京はじめ各地方は健在。先月も福岡のナインアワーズに宿泊したところである。
これは余談であるが、以前(もちろんコロナ前の話)ライブに和服を着ていったことがある。その時は別のカプセルホテルに泊まり、翌日はそのカプセルホテルで着物を着た。
大きな鏡があったので着付けには困らなかったが、そこは共有のロッカールームである。多数の外国人観光客に見つめられながら着付けをした経験も懐かしい。
ライブや大相撲観戦などで宿泊を伴う際、
ラッシュのバスボムを試したい時は、部屋に浴室のあるビジネスホテルに泊まるが、
基本的にはカプセルホテルを利用している。
ある種の狭さに安らぎを感じつつ、同時に秘密基地のようでわくわくするのである。
またこのようなフィンランド行ったことないけどフィンランド気分を味わえる場所が現れてほしいと願っている。