千秋楽でした

九州場所が終わってしまいました。しばらく相撲ロスですね。

今場所注目していた新十両の日翔志。残念ながら序盤に怪我をして、それから大負けしてしまい、おそらく来場所は幕下陥落してしまうけど、それでも気力で15日間戦った。すこし日翔志について述べたいと思う。

日翔志は大学卒業後、一旦は社会人になるが、ちょうどコロナ禍で相撲の大会がなくなり練習もできなくなったことをきっかけにプロ入りを決断したらしい。
社会人を辞めて相撲界に入ることを父親は反対していたという。プロ入り後、序二段優勝して今後の活躍が期待されたものの、日翔志は稽古中に首を負傷し寝たきりとなり、休業。しばらく相撲が取れなくなってしまったが、なんとか復帰してきた。
その休業中に父親は亡くなられたので、関取昇進を直接伝えることができなかった。
せめて今場所は勝ち越して、天国の父に良い報告をと思っただろうが、それは叶わず悔しい15日間に。
千秋楽の取り組みは幕下筆頭の尊富士と。実質の入れ替え戦である。
おそらく尊富士が来場所は十両に昇進する。
相撲界はシビアな階級社会である。

大相撲アプリには、その日その日の活躍した力士を募るアンケートがある。
その中で日翔志が勝った日はその戦いぶりが評価されランキングに入っていたのは嬉しかった。
大相撲アプリを利用するニッチなファンがどれだけいるか不明ではあるものの、苦しみながら格闘する姿はきちんとファンの目には届いているのだ。

幕下では三月場所に負傷し休場していた若隆景が復帰してきた。休場前の地位は関脇。次期大関と期待されていたが取り組み中の大怪我のため休場。その一番は負傷した状態での同体取り直しとなり、苦しい中勝ち星をあげたが翌日より休場。そのときの対戦相手の琴ノ若はその後関脇に昇進し、今場所では敢闘賞受賞。次期大関と期待されている。そして次兄の若元春も関脇に昇進し名古屋場所では大関昇進を期待されていた。さらに長兄の若隆元もいるので、3兄弟でこれからも活躍してほしい。

そして幕内。やはりなんといっても友風の復活。友風もまた、大けがを負って、一時は普通の生活もできない状態で復帰は絶望的と言われていた。インタビューでは「ずっとぬぐえないものと戦っていく」と覚悟を述べており「おかえりなさい!」の声に答える戦いぶりは見事だった。彼は時おりよくいるピアノを弾く力士でもあり、そしてYOSHIKIのファンということだ。

さらに幕内は一山本も活躍し、敢闘賞受賞。一山本も怪我と休場で番付を下げてしまい、しかし先場所は見事に十両優勝して幕内に復帰。今場所は幕内優勝争いをひっぱっていく存在となった。一山本だが、勝ち星を重ねるたびに二山本、三山本、最終的には十一山本で敢闘賞受賞。これからも優勝争いに絡む活躍を見せてほしい。
この一山本もまた、社会人を経て入門した力士であり、さらに先ほど述べた若隆景の大ファンということである。自身も関取なのに、日本相撲協会のショッピングサイトを利用して若隆景グッズを買っているのは有名な話。

ひとりひとりそれぞれにドラマがあり、全員を語りたいが語りつくせない。
ただ、苦しみながらも強くなっていく姿は本当に美しく心を打つものだ。
わたしたちは日ごろ、あんなに努力することがあるだろうか。あんなに緊張する場面に立ち向かうことはあるだろうか。
毎場所残念ながら初日から、あるいは途中休場の力士がいる。つねに危険と隣り合わせの競技。全員の早期回復と納得のいく稽古ができるように祈っている。

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