シュガーブレイク
はい。ブルーバレーことBlue Valleyです。
シュガーブレイク回がやってきましたね。
シュガーブレイク回は基本的に私からの小話が中心なんですが、もしシュガーブレイク回で扱ってほしい話題があれば、ぜひコメントでお知らせくださいね!
さて、今回のテーマは
英会話!
日常生活でギリギリ使わなさそうな表現を紹介します。
まずは以下の文をお読みください。
Ilsa : Hello, Sam.
Sam : Hello, Miss Ilsa. I never expected to see you again.
Ilsa : It's been a long time.
Sam : Yes, ma'am, a lot of water under the bride.
これは、1943年公開の映画『カサブランカ』の、ある一場面でのセリフです。
Samは、映画内では脇役の黒人ピアニストとして登場します。Ilsaは、Samの主人であるRickの元恋人であり、二人は面識のある関係です。
その二人が、偶然キャバレーにて再会した場面で、上記のセリフが登場するのです。
一見ごく普通の再会の挨拶のように見えますが、注目して頂きたいのはやはり強調されたSamのセリフです。
I never expected to see you again.
「もうお会いできないと思っていました。」←字幕
受験英語的には、expectは「期待する」と訳すのが一般的です。
直訳すると、「私はあなたにまた会うことを決して期待していなかった。」
となります。ちょっとおかしな日本語ですね。
実はexpectというのは、単なる中立的な表現であり、「予想する、当然のこととしてそう思う」という意味に近い単語なのです。
日本語での「期待する」というのは、将来に対していくらか希望を持った表現です。
この場面でのSamのセリフは、実は非常に冷ややかな表現だったのです。
Samは続けてこのように言っています。
a lot of water under the bridge.
「いろんなことがありました。」←字幕
これは、年月の経過や時代の推移、人生の変化などを、川の流れに例えた表現です。
英語らしいちょっとおしゃれな表現ですね。
これも一見すると、「あなたと長いこと会っていない間に、いろんなことがありましたね。」という、いたって普通の表現のように思えます。
しかし、Samはこのセリフにもっと深い意味を込めています。
日本語には「覆水盆に返らず」ということわざがあります。
Samのこのセリフもまさに「覆水盆に返らず」を表しているのです。
橋の下(under the bridge)を水が流れ去って、二度と戻らないのと同じように、「あれからいろいろ(a lot of water)あったが、もうあの時には戻れないですよ。」
ということをSamは暗に表現していたのですね。
相手に敬意を表す表現の直後に、棘の見え隠れするこのセリフを、ただの脇役にすぎないSamが言うところに、この場面の面白さが詰まっているように感じますね。
実は、ハリウッド映画の中で、黒人が白人に対してどんな言い方をしてもよくなったのは、1960年代に入ってからのことです。
その当時、ケネディ兄弟とキング牧師の3人の暗殺や、ベトナム戦争などが、アメリカ社会を引き裂くきっかけになり、国民もこうした古い常識を捨てる勇気を持つ転換期となったのです。
『カサブランカ』は、こうした動きの20年以上前に発表された作品であり、黒人と白人の会話の中に上手く昔風の抑制が効いていた作品だったのですね。
この映画は、古い作品ではありますが、英語の独特な表現を織り交ぜた名セリフが多いことでも有名ですので、お時間があればぜひ一度見てみてくださいね!
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というかもう極論記事は読まなくてもいいのでコメントください!!笑