恋愛をしようとしたお話し3
今まで家族に従っていた私が、ネットの男と通話したいがために家を飛び出すこと3回目。
家族は
『うさぎが心配だから、どこにいるのかだけ場所を教えてくれないかな?』
と心配そうに、優しく尋ねてきて、答えてしまううさぎだった。
スーパーの駐車場で通話をしていた。
オンラインデートというものが流行り始めていた頃で、いろいろとやってみていた。通話しながらオセロをしたり、ユーチューブを見ていた。次は同じ映画を観ようと話しをしたりしていた。
そんなときに、家族がやってきたのである。
とりあえず通話は切って、驚いた私は、まず、車のロックをかけた。
『なんで一人でいるの?』
『お母さんたちのことが嫌いになった?』
『家が嫌になっちゃった?』
『なんかお姉ちゃん悪いことした?』
運転席側に母がやってきて、助手席側に姉の車が停めてある。もちろん、姉がその車に乗っている。
姉はハンドルや自分の頭を叩いてキレている。
母は、車から出ようとしない私にキレはじめて、
『出てきなさい!』
『なんで出てこないの?!?!』
『帰ってきなさい!』
と窓やドアを叩いきながら、怒鳴るのだった。ドアをガチャガチャと開けようともしている。
「そのうち帰るから、先に帰ってて。」
『もう帰ってこなくていい!!!』
「じゃあ、帰らないから、いなくなって」
『なんでそんなに変わっちゃったの?
前はそんなこと言わなかったのに』
とおんおん泣くのだ。
人目のある駐車場で。
『ちゃんと帰ってくるんだよ?
待ってるからね』
と言い残して帰っていった。
私も通話をして、相手に事情を説明して、帰路についた。
次に外に行くことが厳しくなった。
一人になれなくなった。
通勤中に一人になっても、通話やメッセージで繋がっていないと不安がられた。
『お母さんのこと、嫌いなの?』
『嫌いになっちゃったんだ』
が口癖で、そのたびに
「必要だよ」
というセリフを求められた。
この頃から一人暮らしの必要性を感じるようになっていった。
30才を目前にして、世間からは私が親離れしていなくて甘えているように見られているのはわかっていたし、実際そうだと思っていた。
だから、親離れや甘えというワードで、親を説得しようとしていた。
akrさんからは、通話したい、会いたいと言われていたが、お断りしていた。
「一人になれないんです」
と言う私に、
『その親、おかしいんじゃない?』
と言っていた。
それでも私は、おかしいとは思っていなかった。
akrさんとメッセージをやり取りして、人となりを知っていった。
・同じ年
・中距離ドライバー
・いつも2番目の男になるらしい
これは、浮気や不倫相手になることが多いと言っていた。元カノも旦那がいたが、離婚して、自分と同棲していたが、結局また別の男のところへ出ていったと話していた。
・ゲームがすき
オンラインで出会うことが多いらしい
・恋人がいたことがない私に対して、ずっと怖がられたらめんどくさいと言っていた
今の私ならakrさんは選ばないが、当時の私は過去は過去だしとぽやーっと脳内お花畑になっていた。
それこそ、私も同棲してもらえるのかも、と。
会うことさえ怖くて断ってるのに(笑)
そんなことを思ってるうちにakrさんからメッセージが届いた。
メッセージのやり取りを始めてからだいたい1ヶ月半くらい経っていた。
『うさぎさんはいいこだと思うから、会いたい。
こんなに我慢してるのに、なにが信用できないの?
うさぎさんのこと好きだけど、なんで会ってくれないの?
会いに行くって言ってるのに、なにが不満なの?
写真さえくれないのに、俺、やり取りしてるんだよ?
写真くらいくれてもいいじゃん
なんでマッチングアプリ始めたの?
それなら辞めちゃえば?』
怒っているのがわかった。
どうしたら落ち着いてもらえるのか。
それで頭の中がいっぱいになって、私は『ごめんなさい』と返した。
もう一回なにかが返ってきたが、記憶にない。
気持ちがモヤモヤしたので、それ以後返信することはなかった。
通話をすることはいいことだなと思った私は、通勤途中の田舎の駅で、親の目から隠れてやっていた。
でも『会いたい』と言われると、
・会うの怖い
・コロナが親に感染するの困る
・自分の時間が自由じゃないから、スケジュールがたてられない。約束できない
と理由をつけて、お断りしていた。
akrさんが言った様に、会う勇気もない私がマッチングアプリをしているのが悪いことに思えてきた。
でも、だからこそ、ちゃんとやり取りをする前にそれでもいいか確認していた。
通話をすれば恋愛経験の話になって、
「恋人がいたことないです」
『え、処女なの、、、』
と必ず言われてた。
自分が恋愛してこなかったことがコンプレックスになっていった。
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