恋愛をしようとしたお話し1
私は30才になるまで、人から好きだと言われたことがない。
(高校のとき、裏では高嶺の花と言われてたらしいが)
人を好きになることはあっても、相手に伝えなかった。
それは、家族に繋がる行為として嫌だったからだ。
人と付き合えば結婚を見据えられる。結婚すれば家族になる。家族になれば実家のようにクソみたいな家族になる。これが嫌だった。
それと、自分が女扱いされるのも嫌だった。
未来も考えられなかった。
たまに男の子からお出かけに誘われても、母から『お母さん具合悪いのに、置いてくんだ』と言われて、キャンセルしてばかりだった。
28才のときに(まだ実家暮らし)、エマ(ネットのフレンド)から
『彼氏つくってみろ』
と言われた。上記の反論をすると、
『やってみなきゃわからないだろ?
例えば、料理って食ってみなきゃ好きか嫌いかわからないじゃん
彼氏つくってから、嫌だって決めればいい』
私はこれを、なるほどそれもそうだ、と思った。
コロナ禍だったので、出会う方法にマッチングアプリを選んだ。
もう一つ理由があった。
コミュニケーション能力を上げること。
マッチングアプリに登録して、メッセージのやり取りをする。
これは私にとってハードルがかなり高かった。
『趣味はなんですか?』
『お休みの日はなにしてますか?』
『好きな食べものはなんですか?』
どれも答えられなかった。
本心からわからなかった。
自分がなかった。
我慢しすぎて、麻痺していた。
まずゆっくりと好きと嫌い、快不快を見つけていく作業をした。
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