虚無感に駆られる日々 第十一章

第十一章 偶然

季節は過ぎて、冬になり 私は短期バイトをすることにした。きっかけは少しでもお小遣いを稼ぎたいと思い良い経験にもなると思ったからだ。初めてのバイトに緊張しながらも、新しい環境に飛び込むことに期待もあった。

バイト初日、担当者 挨拶を済ませ、制服に着替えてから業務の説明を受ける会場に移動すると、私は驚いた。 

なんと 同じ職場に愛嬌さんと美人さんがいるではないか


「えっ、二人もこのバイト応募したの?!」と私は声を上げると、二人は笑顔で返事をした。

「あなたもここでバイトするんだね!」と愛嬌さんが言う。
「偶然だね、よろしくね」と美人さんも微笑んだ。

「こちらこそ、よろしく頼むよ ってか顔見知りがいるからやりやすいなw」と私も喜ぶ。

「そうね まぁでも 久しぶりって程でもないかしら?時たま 通学の電車で会ったりするもんね」美人さんが話す。

愛嬌さんがすかさず反応する「えぇ〜そうなの〜私と美人ちゃんはあんま会わないの残念…どうしてw」

美人さんが突っ込む「私は少し遠い学校だから 早めの電車に乗ってるからね」

私と愛嬌さんは同じ高校で、美人さんは私たちとは別の高校に通っている。

この偶然の再会に、私は少しワクワクした。
業務中は忙しいので あまり話す暇がなかったが、休憩中はよく三人で会話をした。
そして残業が無い日は皆で一緒に帰るのが流れとなっていた。

 私にとってその会話と帰宅の一連の日常はいつしか楽しみとなり
私も (ずっとコレが続けば良いんだけどな)と思うようになっていた。

ある日 休憩中 ひょんなことから恋愛の話題になった

三人で 彼氏彼女が欲しいか とか 綺麗な人はいるか といった話をする。

私はこの時 ❨そういえば…二人とは恋愛の話とか中学校時代話したこと全く無かったな…気になるかも❩

美人さんが先に話し出す「世間体的には彼氏とか いた方が良いのかもしれないけど、あんま興味無いかなぁ…」

愛嬌さんは少し考え込みながら喋りだした「私は欲しいかな〜 でもタイミングとかもあんまないし……」

私は煮えきらない表情で語る「うーん……まぁいらないとは思わないけど……私ごときが欲しいと言える権利すらない気がして……」

二人は笑い出す「なにそれw 気にし過ぎwww」

私は淡々と話す「いやぁそりゃ お二人は綺麗ですし、可愛いので余裕で彼氏出来ますよ
私は気持ち悪い陰キャなので……彼女欲しいって言う資格すら無い気がしましてね(笑)」

二人は少し呆れ笑い そして
美人さん「その綺麗ってお世辞はいらないから…
まぁでも欲しいって思うのは自由じゃない?」

愛嬌さん「私もそう思う 確かにトラウマがあるのはわかるけど、別に気持ちは自由でしょ」

私は二人の優しさに感謝をする「ありがとう 確かに後ろ向きのままだと 良くなるものも良くないもんな」

そうして時間が経ち その日も三人で帰宅した。

私は家に帰ると❨美人さんは彼氏とか興味無いってのは予想通りだったけど、愛嬌さんは欲しいんだな……どんな人がタイプなんだろう……気になるかも……❩

この記事の時点での時系列 高校1年 冬 絶縁してから約7ヶ月〜9ヶ月

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