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鳥取と元彼

鳥取という言葉を聞くと元彼のことを思い出す。

クリスマスにどこに行こうか、何をしようか、と話していた。クリスマスの何ヶ月も前だ。浮かれていたな、ほんと。

どっちが言い出したのか忘れたけど、「クリスマスは鳥取で過ごそう」という話になった。豪華なディナーも高級なホテルもいらないから、世界で二人きりになった気になれるような場所に行こうって。クリスマスに誰も行かないような場所に行こうって(鳥取の人にはごめんなさい、失礼ですね)。とても素敵なアイディアだと思った。私たちらしいクリスマスになると思った。街のイルミネーションに照らされた煌めく都会ではなくて、星空が輝く田舎で「自分たちは他とは違う」っていう特別感に浸っていたかった。鳥取に何があるのか分からなかったけど、二人でいるだけでやることなすこと全てが特別だと思った。

結局、クリスマスの1ヶ月前に別れた。別れた後に元彼は鳥取に一人で行ったらしい。私がインターン先のクリスマスパーティーのクラブで踊っている間に。

今年できた唯一の友だちに恋人ができた。クリスマスにはディズニーに行くチケットを取ったらしい。ああ、羨ましい。

今年のクリスマス、私は鳥取に一人で行けるだろうか。

細野晴臣 - 悲しみのラッキースター


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