頑張らなければ
2歳のわたしに話を戻そう。
記憶は全くないので、ここからは、想像のお話。
2歳で弟が生まれるまで、わたしはきっと、毎日がお姫様状態だったのだ。
無条件に、手取り足取り、わたしの面倒をみて、ご機嫌伺いをしてくれる、愛に満ち溢れた人達…家族が、4人も存在していたのだ。
核家族の2倍の人数だ。
しかし2歳になってすぐに、弟が生まれ、状況は急変した。
変わらず、愛を注がれていたに違いないが、その愛はわたしだけのものではなくなった。
…と、2歳のわたしは悟ったに違いない。
更に、わたしは大きな勘違いをしたのだ。
「頑張らなければ、愛されない」
「無条件には、もう愛されない」
あれから、何十年も経た今になっても、わたしの中に、しつこく居座る感情だ。
実際には、弟ともずっと仲良く育ったし
両親や祖母達には愛された記憶ばかりだ。
その感情だけが、わたしの中に存在する。
勘違いだったと、はっきりわかっているのに、感情は出ていかない。
今のわたしは、その感情の存在にちゃんと気付いているので、完全に失くならなくても、生きることは、とても楽になった。
しかし、そんな感情を持つ自分に気付かず、漠然と生きていた、昔のわたしは、大人へと成長するにつれ、訳もわからず苦しんだ。
特に、結婚してからは、酷いものだった。
当然、そのうち体調を大きく崩し、身体も心も悲鳴をあげた。
そうなって初めて、自分というものと向き合いだした。
わたしは、わたしの持つ、感情の存在に気付き出した。
30代後半にしてやっと、人生のスタートラインに立ったのだ。