「本を読まない人生を生きるつもりはない」ー素敵な選書サービス見つけました
先日noteで、こんな記事を見つけました。
へえ、わたしだけの3冊を選んでくれる、選書サービス。
ふむふむ、オンライン完結。お手軽。
え、しかも無料。
なるほど、選んでもらった本のタイトルと選書コメントがメールで送られてくるだけで、別に買う必要もないのね。
…つまり、ただただ純粋に、本屋さんが、
わたしだけのために本を3冊選んでくれるってこと?
え、なにそれ、楽しくない?
うわ、そしてなんて素敵なアカウント名。
「いつか読書する日」。
んんん、これはもう、申し込むしかない。
わくわくしながらその場ですぐ、記事内に貼られていた申込みフォームを開いてみる。
開いた先は、とても丁寧なカウンセリングシート。
シートが問いかけるいくつかの質問に、さっそく答えていく。
選書サービスに申し込もうと思った理由、
人生のベスト10の本(3冊でも5冊でも可)、
本を読む時間や場所、
その他いくつかの質問、
そして最後に、
「あなたにとって本とはなんですか?」。
魅力的な質問ばかりで、わくわくしてしまう。
長文回答を読むのは店主さんもきっと大変だしもっと短くしなくちゃ、と思いつつ、書きたいことが溢れて削りきれない。
ああわたし、本について質問してもらうことが、こんなに嬉しいんだな。
そんなことを思いながら、答えていく。
書き終えて、記入漏れがないかチェックする。
うん、だいじょうぶ。
メールアドレスは記入するけれど、それ以外の連絡先や本名を記入する必要はない。
とっても簡単。
よし、送信。ぽち。
これであとは待っていれば、選んだもらった3冊の本のタイトルが、メールで届くんだよね?
うわあ、たのしみ!
* * * *
おすすめ本を選んでいただくのを待っている間、この選書サービスをしている「いつか読書する日」さんの記事をいくつか読んでみた。
そこでわかった、いくつかのこと。
まず、この「いつか読書する日」というアカウント名について。
この魅力的な名前は、この本屋さんの店名だった。
そしてこの本屋さん、「本屋さん」と言ってもひとつの店舗を構えているわけではない。
東京の神保町にあるPASSAGEという共同書店(シェア型書店)の「一棚店主」さん、とのこと。
ん?一棚店主?
どういうこと?
頭にハテナが浮かんだまま、記事の中に貼られていたこちらのリンクに飛んでみる。
こちらもまた、少し抜き出して引用してみる。
ええ、一棚一棚に店主さんのいる共同書店!
なんてユニーク、なんて素敵、さすが神保町。
そしてさらに記事を読むうち、「いつか読書する日」の店主さんが、別のお仕事(本業)をしながらこのユニークな共同書店の一棚を運営されている、ということもわかってきた。
本業があるのに、なぜ共同書店の店主をしているのか。
この理由がまた、とても胸に迫るものがあった。
* * * *
店主さんが書かれたこの記事、とても胸を打つ内容なのでぜひ全文読んでいただきたいのだけれど、これもまた、ここに一部を引用させていただく。
記事は、本業の過酷な働き方のため体を壊してしまった経緯から始まる。
この文章の最後に書かれた一文。
「私はもう、本を読まない人生を生きるつもりはない」。
うわあ、わかる。
すごく、わかる。
なにも本じゃなくてもいい。
映画でもダンスでも絵でも、とにかく「自分が心から愛する何か」。
その「何か」をしない人生を生きるつもりはない、と決めること。
「本を読まない人生を生きるつもりはない」
「映画を観ない人生を生きるつもりはない」
「ダンスを踊らない人生を生きるつもりはない」
「絵を描かない人生を生きるつもりはない」
「家族と一緒に過ごさない人生を生きるつもりはない」
他者の目にそれがどれほどくだらなく映ったとしても、自分が心底愛するものなしの人生を生きるつもりはない。
そういうことだと思う。
ああ、わたしもそんなふうに生きてきたなあ、と思った。
そして、この価値観を共有する人に、わたしはこれから本を選んでもらうんだなあと、しみじみ嬉しくなった。
* * * *
そして後日、ついに「いつか読書する日」さんから選書メールが届いた。
そこに書かれていたのは、期待以上の素敵なお返事だった。
その素敵なメールを、ご紹介します。
(「いつか読書する日」さんから掲載許可をいただきました)
感動して鳥肌が立った。
一番嬉しかったのは、店主さんが「悩みに悩んで」選んでくださったということ。
だって、そんな経験、なかなかできない。
しかもそれが、「本を読まない人生を生きるつもりはない」と思い至るほど本を大切に思っている人の、選書なのだもの。
小躍りするほど、嬉しかった。
そしてここに並べられた、3冊の本。
①の『最後の物たちの国で』は遥か昔に読んだことがあるけれど、きっと今のわたしには違う響き方をするだろうという予感がある。
再読決定。
②と③は、まるで知らない本だった。
添えられた心のこもった解説文からその面白さが滲み出ていて、必ず読もうと心に決める。
* * * *
本を選んでもらう、というのは、すごく特別なことだと思う。
それは手紙を受け取るのに、どこか似ている。
わたしの内面だけを見つめて書いてもらう手紙。
得難い震えのようなものが、そこにはある。
きっとそのうちAIが、驚くような精緻な選書サービスを行うようになるだろう。
でもそこには、この「手紙」の要素が欠落してしまうんだろうなあ、とも思う。
そんな要素いらない、と思う人もきっとたくさんいるだろう。
それもまた正しいと思う。
それでもわたしは、心の込もったこんなにも温かな選書サービスを受けられてよかったと、心から思う。
だって、わたしのために時間をかけて選んでいただいた3冊の本は、読む前からすでにわたしの宝物なのだ。
AIに選んでもらった本が、読む前から宝物になることは、たぶんきっと、ない。
「いつか読書する日」さん、素晴らしい選書を本当にありがとうございました!
* * * *
「いつか読書する日」さんの選書サービスは、こちらから申し込めます。
* * * *
お読みいただき
ありがとうございました。
どうぞ素敵な一日を!