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本の部屋

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わたしの大好きな本だけを並べた部屋。 いつか壁一面の本棚みたいになる日を夢見てニマニマしています。 「ふーん、どれどれ」くらいのスタンスで気軽に立ち寄ってみてくださると嬉しいです…
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記事一覧

『誠実な詐欺師』ー ムーミンの作者・ヤンソンの小説世界

 みなさま、こんにちは。  十年一刷舎アカウントで、『誠実な詐欺師』の読書日記のようなも…

さち
4日前
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クリスマスに読みたい本10選

毎年クリスマスの季節がめぐってくるたびに、決まって読みたくなる本があります。 その中から1…

さち
1か月前
90

女友達とのお喋り ー 『シェニール織とか黄肉のメロンとか』/ 江國香織

江國香織さんの、『シェニール織とか黄肉のメロンとか』を読んだ。 ここに描かれているのは、…

さち
5か月前
94

底の知れない物語-原作『風の谷のナウシカ』

何度読んでも読み終えた気のしない物語、というものがあるけれど、『風の谷のナウシカ』はわた…

さち
5か月前
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なかなか暮れない夏の夕暮れ ― 夏に会いたくなる人々

江國さんの描く夏が好きです。 夏を描くとき、暑さではなく、暑さの中でしか感じられない涼し…

さち
6か月前
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言葉のひとひら『あなたのための短歌集』

少し疲れたとき、わたしには詩や短歌が効く。 心も体もいっぱいで、もうこれ以上何も入らない…

さち
1年前
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センス・オブ・ワンダーを育む

早朝の公園。 誰もいない新鮮な空気の中を、 まだ小さかった娘と、よく一緒に歩いた。 草の上には無数の朝つゆがきらきらと光り、まるで宝石が散りばめられた絨毯の上を歩いているようだった。 娘は一歩ごとに立ち止まり、 そんな朝つゆを飽きることなく眺めた。 * * * *  自然の美しさに目を見はるときに感じる、幸福な驚き。  東京で暮らしていても、日常の中にこういう瞬間はたくさんある。  そんなときに決まって思い出すのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』だ

【読書】『じゃ、また世界のどこかで。』ー撮って 笑って 旅をしてー

笑顔、笑顔、笑顔。 「僕の写真でもっとたくさんの人を笑顔にして、幸せを贈りたい」。 『は…

さち
1年前
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【読書】『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ

このタイトルを耳にして多くの人がまず思い浮かべるのは、オードリー・ヘップバーンが主演した…

さち
2年前
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春樹さん、「壁」って一体なんですか。(システムとしての「強固な壁」と、意識の境界…

わたしは普段、小説を分析したり検証したりすることは、どちらかというとあまり好きじゃない。…

さち
1年前
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『街とその不確かな壁』ー村上春樹さん6年ぶりの長編小説

「きみがぼくにその街を教えてくれた。  その夏の夕方、ぼくらは甘い草の匂いを嗅ぎながら、…

さち
1年前
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【読書】極上のエンタメ『ウィンダミア卿夫人の扇』/オスカー・ワイルド

19世紀末英国文学の旗手、オスカー・ワイルド。 彼の戯曲はエンターテイメント性がものすごい…

さち
1年前
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【読書】『人は何で生きるか』トルストイ

ロシアの文豪、トルストイ。 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの大作で知られるけれ…

さち
1年前
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【読書】『お探し物は図書室まで』/明日が少し楽しみになる本

青山美智子さんの小説は、いつも優しい。 何気ない言葉で心の中にするりと入り込み、蓋をしていた気持ちに優しく触れて、そっと開いてくれる。 青山さんの言葉に導かれて、きつく閉められていた蓋が、ほんのすこし、開く。 一度開いた蓋からは、止めようもなく自分の気持ちが溢れ出る。 ほんとうは、こうなりたい。 ほんとうは、こう言いたい。 ぎゅっときつく蓋をしていた箱の中身は、 たくさんの「ほんとうは、こうしたい」。 そこから溢れ出たたくさんの本音の中には、自分でも気づいていなかったも