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恐怖のドライブ、再び

私には2人息子がいる。

上は来週19、下も来月17歳。

子供でも大人でもない微妙な歳だ。

去年長男、無事に運転免許を取った。

その後、私の車を擦ったり、夫の車をぶつけたりを繰り返し、今ではできるだけ運転しないよう心がけてはいるようだけど、それでもいざという時には車で出かける。

そして次男坊、春休みに筆記テストをパスして仮免取得。

日本の若葉マークのようなマグネット式赤の”L”マーク。Learnerドライバーの印。

これを車につけたら彼も条件付きで運転できる。

こちらの免許取得の工程は非常にシンプル。

16歳で筆記試験を受けられ、合格すれば仮免取得。

その一年後には、実施テストが受けられ、それに合格すれば今度は緑のマグネット”N"ーニュードライバーのサイン。こちらも条件はあるけれど一人で運転できる運転免許がもらえる。


こんな感じです

怖いなあ、と思う。

次男坊が仮免を取った3月はまだ日も短く寒かった。

本人からも運転したいという欲望は全く見られず、そのまま何もしていなかったけれど、気づけばもう夏も終盤。

夏の間に運転の練習をしなかったらいつする?

ということで少しずつ運転の練習を開始した。

長男の時、もう一生運転免許はいらないと言い切るくらい滑り出し不調だった経過を考えると、夫が運転を教えるのは避けるべしと学習したので、迷わず私が教官に。

最初は近所の大きなチェーン工具店の駐車場で基本的なことから。

タイヤチェック
ミラーチェック
アクセルペダルとブレーキペダルの確認
エンジン開始
サイドブレーキ

前進、停車、バック、停車

飲み込みの早い次男坊15分後には駐車場の中を徐行で運転していた。

緊張しいの長男とは対照的に何事にも柔軟性をみせる次男坊。

そこ右→そこ左→あそこに駐車

慌てることのないのんびり運転、もうかなりの安定感。

ちょっと道出てみようかな?

と言い出す余裕の16歳。

え!!!と思い私は必死に普通を装う。

そうだよね、上手だからね。でもまだちょっと早いかもしれないかなあ?まあ、この周りだけだったらそれほど車走ってないけど、一応公道出しねえ。

否定感をとことんおさえて、やんわりダメだしする。

冷や汗が流れる。

私の小さな反対に我関せず。聞いていない体で、青年迷わず駐車場を出てしまう。

オウノーーーーー、心で叫ぶ。

まあいいんだけど、ゆっくりね。車が来たらサイン出して端に寄って先に行ってもらってね。

早口で注意事項を言いながらシートベルトを確認。

この店舗の周りは道路も広いし交通もほとんどないから安全なのだけど、助手席の私の全身に緊張感がはしる。

無事に行きますように。

次男坊がブレーキをかける度に私もエアブレーキを力一杯踏む。

止まるタイミングが幾分か私より遅い。

それが私の緊張感を助長する。

怖い。

私の気持ちを察することもなく、次男坊鼻歌歌ってます。

面倒だから、もうこのまま家に帰っちゃっていいよね。

と助手席の私に確認することすらせず家路に勝手につくことにしたようで、ずっとくるくる回っていた道を外れ、我が家へ向かう。

大丈夫かなあ?結構人通りあるよ。車も両側止まってるから道狭いし、大丈夫かなあ。

やる気を削ぐようなことはしたくないけど、不安は募る。

ぶつぶつ若干小さめな声で独り言のように心の声が洩れる。

でも、まったく動じることなくおしゃべりに興じる次男、くだらないことを話し続ける。

いつもなら一緒に笑って盛り上がるのだけど、助手席に座る私にはその余裕はない。

テキトーな相槌を打ちながら小さい声で

はいもうちょっとゆっくり、はいここで止まって、そうそう、はいここ右にねー、そうそんな感じでね。

平常を装っているはずが気づけば眉間に皺。

あと少し、あと少しと手に汗握ることわずか10分。

家の前はいつになく駐車している車はなくワイドオープン。

次男坊スーッと端に寄せ、ドライブからパーキングにシフトして終了。

サイドブレーキを上げ、エンジンを切る。

なんか楽勝だったね、と爽やかに笑う次男坊に

初めてにしては上手だったね。

と引きつった笑顔で褒める私は、確実に1時間前より半年分くらい歳をとった。

無事に着いて良かったに尽きる。

車を降りた時のこの安堵感は久しぶり。振り返れば長男の運転練習に付き合った時以来。

いつか安心して運転してもらう日は必ず来るのだろうけど、暫くはこの緊張感と共に過ごさなければいけないなあ。

私の夏はまだまだ終わらない涙



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