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限られた時間の使い方

先月久しぶりの帰国、いつも会う人たちとの再会を果たした。

高校時代の友人、職場の同僚、短大時代のサークル仲間。

離れていても会えなかった時間を感じさせない、いつあっても最後に分かれたところからすぐまたつながる関係は、やっぱりうれしい。

その中でちょっとした変化があった。

学生時代にサークルを通して仲が良かった3人の友達。

親友というほど大した関係ではないけれど、同じ時間にのんびりと勉強にバイトとゆるーく時間を共有し、気の合った仲間。

別の業種で就職したり、違ったタイミングで結婚したり子供ができたりと、それぞれの場所で違う時間を生きている。

普段の生活ではほとんど思い出すこともないから、たまに会って話すとそれぞれが経験した時間や出来事にびっくりさせられたり大笑いしたり。

この距離感もすごく心地いいし、一人の個人とがっつり向き合う感じとは違って風通しがいい。私はけっこう気に入っている。

当たり前のように帰国が決まった時、3人にまとめてメールで日程を知らせた。いつもならそのメールにそのまま全員あてに「待ってるよ」とか「楽しみにしてます」とか返信が来る。

今回はいつもの感じというか温度が微妙に違った。

各自それぞれがメールで私にだけに返信をくれた。

深く考えることなく帰国。とりあえず一番近くに住んでいるハイジ(あだ名)に連絡してみた。ハイジは私の花の東京時代の友達の中、唯一出身地が一緒。だから彼女とだけ会うこともある。

のんびりおだやかでいつも私のはく毒を楽しんでいる。

うーんどうだろ、今回はみんなであえるかなあ?みんな忙しいからね。

ちょっといつもとは違う歯切れの悪さ。

何かあった?

うーん、メイメイちょっとみんなと連絡とってみてよ?

どうしたどうした??急に不安になる私。さっそく東京在住のサイゴーさん(ニックネーム)に連絡する。

今回ラインデビューしたので、私の携帯から電話してみる。

おかえりーーー!!

懐かしい声にほっとする。ひとしきりお互いの近況を語り合ってひと段落ついたとき、彼女から今回の本題へ。

少し前に3人で会った時、ちょっとしたことでMさんがきれてしまったとのこと。

でもそういうことは常で、私的にはまた?という感じ。

その時もいつも同様、Mさんが少し落ち着いたところで話題も変わり、穏やかにお開きになったようではあるのだけど。

Mさんは箱入り娘。娘というにはちょっと年齢がいっているけど、小さい頃からNHKしかみたことがない、宝塚にお母様と足しげく通い、高価なものを大事に使うようなお嬢様。考え方や常識が少しずれているところがすごく魅力だし興味深い。

思っていること感じたことを何もフィルターをかけずに発信する傾向が私と似ていて、辛辣なコメントや上からな指摘もすごくおもしろい。

少なくとも私はそう思っていた。

でもサイゴーさんは学生時代からストレスだったそう。彼女の言葉や言動に深く傷つけられたこともあったらしく、前回のMさんの発言で今までの我慢が切れてしまった、そんな話をしてくれた。

笑顔の裏で傷ついていたり悲しかったりしたことがあるのかと思うと、自分にげんこつだなあ。

どうして気づかなかったんだろう。

Mさんの言動にあれ?と思う度、私はそのまま伝えてきたし、それは違うと思ったことはストレートに伝えていた。

その度に、いちいち言い返す私の横でニコニコしているサイゴーさんとハイジに「この人たちは老人なのではなかろうか?」と彼女たちの達観した風貌に自分の小ささを痛感していた。

実際は彼女たちも感じること思うことがあったのかもなあ。

線が細くてモデルみたいに綺麗なサイゴーさんはいつも物静か。私が話すと時折必ず肩を揺らして笑ってくれるし、涙を流しながら「メイメイさすが」と、どこが彼女のツボなのかはわからないけど、嬉しそうに聞いてくれる。

「なんでそんなにやさしいの」と不思議になってしまうくらい器の大きさを感じていた。

でも。限界だったんだなあ。どれだけいままで我慢してきたんだろう。

何か、私のせいでみんなと会えないのはいけないと思って、いいたくなかったんだけど。。。でももう無理かも。

そうかあ。

人は変わる。人の核というか真ん中は変わらずその人そのものなのかもしれないど、それを取り巻く考え方だったり価値観だったりは時間をかけて少しずつ成形されて、きっと死ぬまで微調整が続くのだと思う。

だから、いつまでも友達というのは難しいのかなとも思う。

私も40を超えてから無理はしないように変わっていった。

若い頃は少しくらい価値観が違っても、そういう人と触れ合うことで自分の持っていない世界を覗けたり、自分の偏った見識を少し調節できたりするかもと、広い交友関係をよしとしていた。

何なら交友関係を広める努力をしていた。

でも、年を重ねてからはできるだけ好きな人の周りにいたいと思うようになったし、ちょっとストレスを感じてしまったり、あわないかもと思った人とは距離をとっている。

だって自分の時間は限られている。

無駄遣いしたくない。

無理して嫌な思いをするくらいなら、洗濯機が回っているのを眺めてボーっとしている時間の方が私には大事だ。

そういうことを考える機会が増えたところでの今回の件。すごく共感できるし、今更というよりはやっとといった方がいいのかもなあと思う。

ハイジさんは「もっと私が話をきいてあげていれば」と彼女なりに反省しているみたいだけど、それはまた少し違うような気がする。

そういう時期になったということなんじゃないかな?と思う。

みんなで一緒に会う機会がなくなるのは残念だけど、それぞれと連絡を取ればいいだけだし、誰かが我慢してというのはちょっと違うから。

自然と仲良くなることもあれば、少しずつ縁が薄れていくこともあっていいのだと思う。

サイゴーさんは大分吹っ切れたようで、なんだかすっきりしていた気がする。

でも少しでも彼女の生活が穏やかで波風の少ない平和な時間で満たされるといいなあ。

沢山あるようで実は限りある時間。できるだけ気持ちよく、幸せにいい時間を重ねていきたいし、友達にも同じことを願う。

日本の暑い夏、みんなどうしているのかな?



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