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【考察】コントレイルが顕彰馬になれなかった理由①
はじめに
先日、2023年のJRA顕彰馬が発表された。
今年はアーモンドアイが有効投票数207のうち200票(約96.6%)を集め、選出された。
一方で、コントレイルはわずか1票足りずに選出を逃した。
顕彰馬選出の条件として、有効投票数の75%の得票が必要である。
コントレイルは有効投票数207のうち155票(約74.8%)でわずかに足りなかった。
当たり前のことだが、74.8%の人が投票したということは、25.2%の人は投票しなかったということだ。
今回はコントレイルに投票しなかった人が一定数いた理由について考察していきたい。
コントレイルについて
コントレイルについてはnoteを始めたときから取りあげたくて仕方なかったが、ついに書く口実ができたなあというところだ(笑)
コントレイルについて簡単に紹介しておく。
競馬好きなら知らない人はいないであろう、無敗でクラシック三冠を達成した名馬だ。
この無敗で三冠というのが凄いところで、これは"あの"シンボリルドルフとディープインパクトしか成し遂げていない。
コントレイルはディープインパクトの産駒なので、親子二代で無敗のクラシック三冠ということになる。
去年の顕彰馬投票について
ただ、そんなコントレイルでも今年は顕彰馬になることができなかった。
顕彰馬投票は毎年行われるので恐らく来年は選出されると思うが、今年選出されたアーモンドアイも去年は票が少し足りなかったのだ。
そのため、G1を9勝もしたアーモンドアイですら一発では選出されないことに対し不満の声も多く、顕彰馬という制度に異議を唱える者も少なくなかった。
俺もこれについては非常に疑問であり、逆張りに逆張りを重ねても芝G1の勝利数を更新し、世界レコードでジャパンカップを勝利し、引退レースで後輩の三冠馬2頭に完勝した馬が一発で顕彰馬になれなかったことはさすがに理解しがたかった。
ただ、顕彰馬投票のルールは「1人"最大"4票まで投票できる」というものなので、1票しか入れなくてもいいわけだ。
つまり、どうしてもアーモンドアイに入れたくない人は他の馬に1票入れて終わらせることもできたということだ。
このルールが存在する以上、こうなるのは仕方ないのかもしれないが…
コントレイルに投票しない理由
ここからが本題だ。
では今年のコントレイルが顕彰馬になれなかった理由を考える。
俺が思うに、コントレイルが顕彰馬に相応しくないと考えられる理由は
①菊花賞以後の成績
②"無敗の三冠馬"という肩書き
③クラシックで競った馬が古馬でG1を勝っていない
主にこの3点が大きいと考えている。
全部書くと長くなりそうなので今回の記事では①について掘り下げたい。
コントレイルは菊花賞の後3戦走り、ジャパンカップ2着、大阪杯3着、天皇賞秋2着、ジャパンカップ1着という結果である。
結果だけ見れば弱いわけではないし、生涯11戦で全て3着以内だったのは立派だと思う。
ただ、問題はその内容だ。
ジャパンカップ(2020)2着
コントレイルのケチのつき始めだと思うので、古馬になる前の3歳のジャパンカップも触れなければならない。
2020年のジャパンカップはアーモンドアイのラストランで、この年の牡馬三冠を果たしたコントレイル、牝馬三冠を達成したデアリングタクトという三冠馬3頭の対決で盛り上がった。
結果としても1着アーモンドアイ、2着コントレイル、3着デアリングタクトの三強で決着したのだが、ここでアーモンドアイに直接敗れたことがこの年の年度代表馬を逃す要因になり、今回の顕彰馬投票でも多少の影響を及ぼしたように思う。
大阪杯3着
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大阪杯の敗因として挙げられるのが雨と重馬場だろう。
この中でのレースはコントレイルにとってどちらも経験したことのないものであり、これについては仕方ないと考えることはできる。
勝ったレイパパレは阪神2000mが得意で逃げがうまくハマり、2着のモズベッロは重馬場巧者だしね。
ただ、マイルでは最強のグランアレグリアやクラシックを競ったサリオスには先着を果たしているが、マイラーのグランアレグリアに自身の庭である2,000mでクビ差というのは、後の天皇賞秋を踏まえても触れておかないといけないと思った。
宝塚記念回避
しかし、コントレイルは予定されていた宝塚記念を回避する。
理由は大阪杯の疲れが取れないというものであったが、ここまで順調にいかないとなるとコントレイルの強さに疑念を持たれても仕方ない気はする。
身体の丈夫さも含めてその馬の強さだと思うのでね。
メンバーを見ても実力的にコントレイルの敵になりそうなのはグランプリ連覇中のクロノジェネシス、大阪杯で敗れたレイパパレくらいだったと思う。
結局、コントレイルの引退後に矢作調教師はこのように語っている。
「宝塚を回避したのは疲れだけでなく、実は脚部不安もあった」
確かに、これを聞くと回避したことは納得できる。
宝塚記念は時期的にタフな馬場になりやすいので、脚部不安がひどいのであればこの判断は間違っていないとは思う。
ただ、宝塚記念の当時に脚部不安を明かさなかったことで、「クロノジェネシスに勝てないから逃げた」などと言われてしまうのは避けられなかった。
天皇賞秋2着
そして、この年の天皇賞秋とジャパンカップを走って引退というローテが発表された。
天皇賞秋は3歳の皐月賞馬エフフォーリア、大阪杯に続き中距離に挑戦するマイル女王グランアレグリアとともに三強を形成した。
結果としてはそのまま三強で決まったのだが、勝ったのはエフフォーリア、コントレイルは上がり最速の33.0秒の末脚で追いすがったが、差がなかなか縮まらなかった。
さらに、2番手でレースを進めたグランアレグリアにまたしてもクビ差しかつけられていないことも引っかかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1689091211116-ooUXVz8MfJ.png?width=1200)
確かにこの時のエフフォーリアはめちゃくちゃ強かった。
グランアレグリアが単なるマイラーでないこともわかっている。
しかしそうだったとしても、「無敗の三冠馬」としてはこのレースは絶対に勝たなければならないレースだった。
東京2,000mという得意距離、得意舞台で年下の皐月賞馬にあっさりと負けてしまうのはあまりにも大きく、この点は顕彰馬投票でも懸念点になったと考えられる。
ジャパンカップ(2021)1着
そうして臨んだラストラン、ジャパンカップ。
ここでは単勝オッズ1.6倍のダントツの1番人気になった。
他に人気していたのは、ダービーでエフフォーリアを下したシャフリヤール、アルゼンチン共和国杯を連覇したオーソリティくらいだった。
さすがに今度こそ負けられない。
ここも敗れれば「古馬で1勝もできなかった三冠馬」という最悪の称号がついてしまう。
…心配するまでもなく、コントレイルは圧勝した。
レース後のインタビューで福永騎手の涙を見て俺も感動した。
ただ、今振り返ってもこのレースはレベルが低いと言わざるを得ない。
2着のオーソリティは翌年のネオムターフカップを勝ったが、ドバイシーマクラシックは3着、宝塚記念の除外以降、1年以上休養している。
3着のシャフリヤールは翌年のドバイシーマクラシックを勝つが、その下の世代のイクイノックスには手も足も出ず、同年のジャパンカップでもメンバーが薄いなかでコントレイルと同世代のヴェラアズールに敗れた。
他に有力どころだと菊花賞でコントレイルに迫ったアリストテレス、オークス馬のユーバーレーベンなどがいたが、その後の戦績を見てもG1で通用していないのが現状だ。
よって、コントレイルの実力、実績からしてこのジャパンカップは天皇賞秋以上に勝って当たり前のレースと言わざるを得ない。
エフフォーリアにリベンジを果たしていれば評価はもう少し上がっただろうが、エフフォーリアが出走する有馬には出ないので、より天皇賞秋は負けてはいけなかったことになる。
有馬記念
有馬記念は矢作調教師曰く、
「得意な条件と思えないし、そういうレースには出したくない」
とのことだった。
俺の意見だが、有馬記念には出てほしかった。
エフフォーリアにリベンジすること、グランプリと秋古馬三冠をしっかり走りきること、この2つを達成できれば三冠馬の底力を示せたはずだ。
こうしてコントレイルはグランプリに一度も出走しなかった三冠馬となった。
この点も顕彰馬投票において懸念点になったと思う。
まとめ
今回の記事ではコントレイルが顕彰馬に選ばれなかった理由を彼の実績の面から考察した。
3歳時のジャパンカップでアーモンドアイに敗れたこと、天皇賞秋でエフフォーリアに敗れたこと、中距離のグランアレグリアに僅差だったこと、グランプリに出走しなかったことなどが投票しなかった人の懸念点なんじゃないかな。
当時のTwitterを見る限りではこの結果に批判的な人が多く感じた。
俺はコントレイルのファンでもアンチでもないが、今回はあえて彼が顕彰馬に選ばれなかった理由を考えてみようと思った。
今回は先に挙げた原因のうち、「①菊花賞以後の成績」について考察した。次の記事は「②"無敗の三冠馬"という肩書き」について書くつもりだ。
ちなみにこの記事は顕彰馬の発表がされた頃に書き始めたのだが、リアルの忙しさと自らの怠惰のせいで全く筆が進まなかったので、投稿が1か月以上経った7月となってしまったのは猛省しないといけない…
ここから投稿頻度を上げていくつもりなので何卒よろしゅう…